不定期連載企画、懐かしの名盤ジャンジャカジャーンのシリーズ第8弾は、ポリスでお送りしている。ちょうど洋楽に興味を持ち始めたころにデビューしたスーパートリオは、それまでふれたことのない個性的なサウンドで世界を席巻した。僕が初めてポリスを聴いたのは、デビュー翌年の1979年『Reggatta de Bianc/白いレガッタ』からシングルカットされた『孤独のメッセージ』だった。ヒットチャート駆け上がってきたこの曲を初めて聴いたときは「なんじゃこりゃー」な驚きを持ったのだった。それまで聴いたどんな音とも異なる響きを持っていた。続いてカットされた『ウォーキング・オン・ザ・ムーン』でも同じくぶっ飛び、さかのぼって聴いたデビューアルバムに収録されていた『ロクサーヌ』で完全にノックアウトされ、以降大好きなバンドのひとつに君臨し続けている。
ポリスが現れたころのロックシーンは、ビジネスとして肥大化していく過程の混沌の時代である。ディスコブームやテクノ、パンクなど次々とムーブメントが起き、そこに二番煎じを恥じることなくレーペルは商品を投入していく。キッスやストーンズのようにブームに乗っかってエッセンスを取れ入れたりと、信じられないことが次々と起こっていた。そうしたネガティブの数々はあるものの、ビッグマーケットに育ったロックシーンには豊かな才能がドンドン入ってきて、このころデビューしたミュージシャンには、その後長く活躍した大物も多い。そんなシーンの中で結成したポリスは、もともと力のあるミュージシャンの連合だった。パンクブームにトドメを指すようなレーベルの戦略は、今考えるとものすごくチープだが、当時のパンクムーブメントはそれはそれは熱かった。たくさんのバンドがパンクだとレッテルを貼って世に出てきた。だがポリスにそんな小細工は必要なく、やがて誰もパンクムーブメントの一角とは見なくなった。唯一無比のサウンドでシーンの頂点へと駆け上がったのだ。(続く)