季節の狭間の今日、節分ですな。暦の上では明日から待望の春となる。まだまだ春が遠く感じられる極寒日が続いているが、桜のつぼみはお正月と比べれるとずいぶんと膨らんできていて、梅はそろそろ開き始めるかなといったところだ。
節分といえば豆まきとなるが、皆さんの身の回りではいかがだろうか? 会社近くにある増上寺では毎年盛大に行われ、観光客が詰めかける。こうしたイベント性の高い豆まきは、僕らの幼少時よりむしろ増えているような気がするが、家庭での豆まきはずいぶん減っているのではないだろうか。僕らの小さいころは、ほとんどの家で行事を楽しんでいた。翌日の朝、すなわち立春の登校はまかれた豆を踏む感触を楽しみながら歩いたものだ。
豆まきのやり方にはきっと差異が大きいだろうから、参考までに昭和50年前後の我が家の節分を紹介しよう。升に入れた豆を神棚に朝から供え、いよいよまくとなると家族全員で手を合わせ豆を手にする。子供が大声で「鬼は外、福は内」と、照れながら、玄関と勝手口、寝室の大きな窓からもまく。声は大きい方がいいとの親父の指導により、ホントに恥ずかしかった。福は内と背中に向かってまいた副豆を拾い、歳にひとつ足した数を食べ、さらに同数の豆を半紙にくるみ、頭から足へと撫でていく。とくによくしたい部位を念入りに撫でる。そこに神社からいただいた札をつけて、最も近い4つ角の交差点に置いてくる。これも子供の役目で、絶対に振り返ってはいけないとの指示を受け、弟と2人で緊張しながら出向くのだった。懐かしい原風景で、残念なことに家長となった現在の家庭に継承はしていない。家の行事で仕事を切り上げられるような環境になかったため、途絶えてしまった。
皆さんの原風景は? そして、今の家庭ではいかがですか? 明朝、通勤の道に豆が見つかるか、ちょっとゆっくりと歩いてみることにする。