少し前の話になるが、北米のカー・オブ・ザ・イヤーに現代自動車のエラントラが選ばれた。2009年に続いて2度目の受賞で、日本メーカーで2回受賞しているところはない。受賞を伝える報道番組で「日本のクルマにいつ追いつくか」との記者の問いに「もう追いついている」とコメントしていたのは、正直おもしろくなかった。昨年の北米での販売台数が100万台を初めて超え、販売面でも勢いを増すばかりだ。
そして一昨日飛び込んできたニュースでは、サムスンが設備投資と研究開発費に日本円にして約3兆2千億円もの予算を計上するという。開発費は、有機ELの大型パネルとリチウムイオン電池に力点を置くと報じられていた。しかも、有機EL大型パネルは今年中に発売に踏み切るともしていて、つい先日のラスベガスのショーで55型の有機ELテレビを発表している。同じく韓国のLGもラスベガスのショーで55型の有機ELテレビを発表して、84型まで大型化して市場投入すると宣言した。迎え撃つ国内各メーカーは、景気後退と業績不振のために遅れを取っている格好で、ソニーがなんとかアドバンテージをとっているものの、なんとなく押されている印象である。家電技術は日本の生んだ技術を韓国勢がいち早くキャッチアップして、価格、デザイン、マーケティングで世界市場で勝ちにいくパターンから、ついに技術までもリードしていく局面になろうとしている。
7年ほど前のこと。うちの会社が得意としているバイクコンテンツビジネスを、なんとかお隣諸国に展開できないかと、韓国、台湾、中国を回った。台湾は笑顔でウエルカムとしてくれたものの、すでに日本からずいぶんと入り込んでいて、参入は遅いと判断した。中国は規制や商習慣といった難題が多過ぎて、入り込んでいき成功させるまでに相当なリスクを背負い込むと諦めた。そして韓国での交渉の場でのやり取りは、向こうの出版社に行き、韓国でのバイク市場はこれから伸びるに違いないから、うちと提携して出版事業に乗り出さないかと誘った。すると「もしも成功したら我々は単独で発行を始めるだろうが、それでも組むか?」と返された。業務提携など始めだけだと、初回交渉でこう切り出すとは、なんと強いのだろうと思ったのと同時に、先のない事業投資はできないと断念したのだった。このときはメーカー視察や会社訪問など経験したが、どこでも感じたのは仕事と向き合うハートの強さとハングリーさだった。自分がいかにぬるま湯の中でぬくぬくしているのかと痛感できたことが、唯一の収穫だった。昨今の目指しい躍進についつい頷いてしまうのは、この実体験からである。でもね、負けるわけにはいかない。がんばろうぜ日本!!
平家物語だなあ。