京セラは、震災以降、高まる蓄電池需要に対応するため、本年夏より太陽光発電と高耐久・大容量のリチウムイオン蓄電システムを組み合わせた新システムを、国内市場に向けて独占販売すると発表した。
現在、再生可能エネルギーを活用した低炭素社会の実現と、震災以降、急速に高まる電力供給不安の解消に向けて、ピークカットやピークシフトによる電力需要の平準化や、電力の地産地消が求められている。そうしたなか、住宅用太陽光発電システムは、2009年1月に再開した国の補助金制度や、同年11月に開始された余剰電力の買取制度などによって、2011年度中には設置累計数が100万戸を突破すると見込まれており、さらに今後は年率約12%の普及が予測されているという。また、定置用リチウムイオン蓄電池システムについても、2011年度より最長3年間の導入支援事業費として210億円の補助金が決定しており、本年は蓄電システムの普及元年として、本格的な市場の立ち上がりが期待されている状況だ。
このような状況をうけ、京セラは業界トップクラスとなる3社の技術を活かしたシステムをEMS(エネルギーマネジメントシステム)によって、より効率的にコントロールするシステムを開発。国内シェア2位の京セラ製太陽光発電に、世界最大手のサムスンSDI社製のリチウムイオン電池を採用したニチコン社製の蓄電システムを加え、家庭内で使用するさまざまな家電製品と商用電力を連系させるのだという。
高耐久・大容量のリチウムイオン電池は、鉛蓄電池と比較し、約5倍の耐久性を持つとしている。7.1kWhの容量をもち(より多く充電したい場合には、合計14.2kWhまでの蓄電システムの増設も可能)、重量は約200kg、サイズは高さ120cm、幅90cm、奥行35cm。家庭の電気使用量が昼間に多いか夜間に多いかといった生活パターンや、エネルギーコストの削減を優先するか電力確保を優先するかなどユーザーのニーズに合わせた多種多様な制御モードを搭載する。また、災害時などに停電が長く続いた場合でも、晴天時の昼間に太陽電池で発電した電力を蓄電システムに充電することができる、自立運転機能を搭載しているので、夜間や雨天時でも電力利用が可能となる。価格は未定。