まだ、マイケル・ジャクソンが天下統一 (!?) を果たす前夜のことだ。ボズ・スキャッグスはポップミュージックシーンの天下布武に向かって勢いがあった…と、僕は認識していた。彼の曲でファーストコンタクトになったのは「ブレークダウン・デッド・アヘッド」で、このつぶきでは毎度おなじみ、当時の洋楽の情報源だった ♪ダ〜イヤトーン、ポップスベストテン!! でシリア・ポールさんにより押し込まれた。表現が難しいほど独特の声とオッサレーな曲調、ダイナミックな演奏 (バックがトト) にノックアウトされた。圧倒的な歌の存在感はルーツがブルースだからなのだろうか。オッサレーな曲と噛み合ってAORなんて枠に押し込めるものでないと感じた。
「ブレークダウン・デッド・アヘッド」が収録されているアルバム『ミドル・マン』は必聴で、ド頭の「ジョジョ」は何度聴いてもノックダウンさせられ、さらにファーストコンタクトになった「ブレーク〜」へとつながっていくこのワンツーフィニッシュで僕はもう立ち上がれない。クイーンのアルバム『世界に捧ぐ』の「ウィー・ウィル・ロック・ユー」から「伝説のチャンピオン」や、インエクセス『キック』の「ガンズ・イン・ザ・スカイ」から「ニュー・センセーション」の同じく1・2番コンビは、広島全盛期の田中&菊池くらいの破壊力がある。
そしてボズのバラードの…、いやバラード界の名曲の1つ「ウィアー・オール・アローン」を知ったのは高校生になっての後追いだった。『ミドル・マン』と並ぶ、ボズの最高傑作アルバムの『シルク・ディグリーズ』に収録されていて、チークタイムの定番ソングなんだとイケてる同級生のディスコガールから紹介された。ナウでヤングから縁遠い僕ながら、やはり一発で虜になった曲だ。2019年に組んだ特集 “昭和洋楽” はそのままソニーさんよりコンピレーションCDを発売するというコラボになった。この選曲にもちろん入り込んだ僕だ (持ってない方は買ってね) 。そしてさらにこの曲を、『昭和40年男』がプロデュースに参画しているコーラスグループ「フォレスタ」にも押し込んだのだ。
去年にプロデュース第1弾として動画配信を始めた。そしていよいよ第2弾が完成したのだ。昨日、完成動画が僕のもとに届き何度も何度もうなずきながらリプレイした。多くのシンガーがカバーしてきたこの名曲だが、こんな風に仕上げたのは世界広しと言え彼らだけだろう。そう、この仕上がりは世界へ、特に大ヒットしたアメリカで騒ぎを起こしたい。『昭和40年男』読者の皆さんもきっと「ほう、こうきましたか」とニヤニヤしていただけるはずだ。公開は発売日の5月11日。期待してよろしいっ!! 今宵は第1弾の「宇宙戦艦ヤマト」を楽しんでちょうだい。