リメイクで話題の『ファミコン探偵倶楽部』には “幻の3作目”…『BS探偵倶楽部』があった!【S50トーク!?/サテラビューの巻 その2】

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■単なる幻では終わらなかった… サテラビューという実験場の意義

Web担当A (以下 “A”): あらためて考えると、’89年発売の2作目から、’97年配信のサテラビュー版までは8年も経ってるわけだから、その時もファンとしてはすごく久々の再会!って感覚だったんでしょうね。そういえば、さっき話に出たスーファミ用の『PART II』リメイク版は、その後 ’98年にリリースされてるんですよね。サテラビュー版への反響を受けて、ってことだったんですかね?

山崎 功氏 (以下 “山”): うーん、それはわかりませんが、『うしろに立つ少女』はかなりの名作なので、ディスクシステム版で遊べなかったユーザーに、ぜひ遊んでほしいという思いがあったんじゃないでしょうか。「ニンテンドウパワー」も同時期の ’97年にスタートしているので、サテラビューに続いて新たな書き換えサービスをアピールするのに、ファミ探のリメイク版というのはちょうどよかったのかもしれませんね。

: 新作のパッケージソフトとして続編を発売するまでには至らなかったものの、ファミ探にはファンにアピールするだけのネームバリューが十分あったということなんでしょうね。

『ファミコン探偵倶楽部 PART II うしろに立つ少女』スーパーファミコン版 (’98) のタイトル画面
▲昔からのファンには馴染み深い、セーラー服姿のあゆみちゃん。こちらのリメイク版ではさらに美少女度アップ

▲「ニンテンドウパワー」でゲームの書き換えに使用された「SFメモリカセット」の初回版パッケージ
▲初回版の「SFメモリカセット」本体

 

山: 僕自身は、サテラビューにはすごく楽しませてもらったので、当時から買ってよかったと思ってたんですけど、あらためて振り返ってみると、盛り上がっていたのは、’95年4月のサービス開始から1年半ぐらいの間だったんですよね。タレント出演の番組がどんどん終わっていって、ゲームの配信も新しいものが減って、再放送が増えていった。そんな中で ’97年に
『BS探偵倶楽部』登場というニュースはすごく嬉しかったし、ゲームファンの間でもかなり話題になったと思います。やっぱり、それだけのパワーがある人気タイトルだったんですよね。
 

A: なるほど~。それでも、さすがにこの1本で大逆転して、サテラビューのユーザーを一気に増やすようなことにはならなかったワケですね…。

山: まぁ、そうですね…。でも、そういう厳しい状況にあっても、せっかく製品を買ってくれたユーザーをなんとか楽しませようっていう、任天堂の姿勢はすばらしい!と感じましたよ。’95年当時の日経産業新聞の記事によれば、初年度目標200万台に対し10月時点で2~3万台、という販売状況だったそうで、その後も任天堂としては決して満足いく普及数ではなかったでしょう。でも、それならそれで、ということで、サテラビューには新しい試みの実験場としての役割があったと思うんですよ。

A: そこは間違いないと思います。さっきの『BS探偵倶楽部』のチラシを見たら、「『BS探偵倶楽部2(仮)』アイデア募集!」っていう告知も載ってましたよね。

山: そうなんです。’97年秋放送予定で、さらなる続編も計画されていたんですよね。チラシには「完全犯罪のトリックやストーリー等、あなたのアイデアを元に番組を制作します。採用された方は番組にて紹介させていただき、記念品を贈呈します。」と書かれてます。郵送だけでなく電子メールでも受け付けてたみたいですね。みんなのアイデアを集めてゲームを作ろう!ってワクワクするじゃないですか?

A: 放送、番組というスタイルならではの、フットワークの軽さが感じられてイイですね。

山: 残念ながら、この『BS探偵倶楽部2(仮)』はリリースされなかったんですけど、こういった様々な形でのユーザーとのコミュニケーションの試みや、ノウハウの蓄積が、後のインターネット全盛時代になって、Wii 以降、今の Nintendo Switch に至るまでのサービスに活かされた面も大きいと思うんです。

A: “幻のゲーム” も、単に幻ではなく、“次” にちゃんとつながっていたってことですね。本流ではないとされながら、今回めでたく『ファミコン探偵倶楽部』のSwitch版リメイクが発売されたのも、振り返ればサテラビューで『BS探偵倶楽部』がリリースされ、ファミ探シリーズが “コンティニュー” されていたおかげ、と言いますか。

山: そうですね。また今回のSwitch版リメイクが出たことで盛り上がって、新たな人気を獲得したら、『BS探偵倶楽部』も何らかの形で遊べるようになったり、リメイクされたりするかもしれませんよね。さらには完全新作での続編リリースも…? そんないい感じのスパイラルを、ファンとしては期待したいですね。

 
■PROFILE
山崎 功/やまざきいさお

昭和51年3月生まれで、学年的には昭和50年男。任天堂研究家&執筆家であり、『ファミコン コンプリートガイド デラックス』など、数々の作品を発表。昨年には『クラシックゲーム大博覧会 1972-1985』を上梓。『昭和40年男』本誌では1980年前後の電子ゲームを紹介する「デジとの遭遇」も連載中。


 
―といったところで、今回はココまで! 「サテラビュー」についての【S50トーク!?】第2弾を… と思いつつ、ほぼ『ファミコン探偵倶楽部』シリーズの話になっちゃいましたが、いかがだったでしょうか? 筆者は『ファミ探』にノータッチでしたが、これまた興味が出てきましたよ、あゆみちゃ~ん…! なんつって。

現在、Nintendo Switchのリメイク版をプレイ中!という人も、今回の記事で『BS探偵倶楽部』のことも思い出してくれたらウレシイですね。いや~サテラビューはまだまだ奥が深い! 面白い! 意義アリ!(?) ということで、しつこくもう1回ぐらいは続きをお届けするかも…? ドーゾお楽しみにッ。
 
(昭和40/50年男 “Web担当A”)

[↓前回記事]
【S50トーク!?】4/23は「サテラビュー」のサービス開始記念日…!
 リアル昭和50年男が語る幻の「スーパーファミコンアワー」体験 !!

 
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