【S50トーク!?】本日4/23は「サテラビュー」のサービス開始記念日! リアル昭和50年男が語る幻の「スーパーファミコンアワー」体験!!

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キラータイトル!? ユーザーが一斉に楽しんだ『BSゼルダの伝説』

山: このサウンドリンクゲームで、ファミコンのディスクシステム用だった『ゼルダの伝説』をサテラビュー対応にした『BSゼルダの伝説』というのがあったんですよ。当然、グラフィックもスーパーファミコン用にアップデートされてて。僕はゼルダが大好きだったんで、これだけでもサテラビューを買った甲斐があった!と思いましたねー。

▲やはり世界初!の音声連動BSスペシャルイベントゲーム『BSゼルダの伝説』の雑誌広告
▲『サテラビュー通信』’95年9月号「ON AIR GAMES」のコーナーでの『BSゼルダの伝説』紹介記事。8月6日の18時にオンエア開始とある

 
A: ゼルダファンとしてもウレシイし、サテラビューでしか遊べないっていうのはポイントですね。内容としては、基本的にディスクシステム版に沿ったものだったんですか?

山: 放送時間が1時間と決まっているので、その中でプレイできるようなダイジェスト版て感じでしたね。基本は初代ゼルダなんですけど、“裏ゼルダ” みたいな感じでマップが変更された「MAP2」も放送されてました。ちなみに主人公はリンクじゃなくて、“盗まれた街” のマップで選んだ、男の子か女の子のプレイヤーキャラがそのまま出てくるんです。つまり、“リンクの冒険” ではなくて、自分自身がゼルダの世界を冒険できるってことなんですよ! これは熱いですよね (笑)。

A: なるほど (笑)。でも1時間だけだと、あまり複雑なストーリーとかは無理ですよね?

山: ストーリーは週ごとに進んでいって、ゼルダ以外のサウンドリンクゲームも大体4回分で終了してました。だからけっこういろんな展開もあって楽しめましたよ。ゼルダの場合は、トライフォースのかけらを8つ集めて、最後にボスキャラのガノンを倒すところまでありましたね。ただ、たまたま途中の回の放送時間に用事があってプレイできなかったりすると、ストーリーがつながらないとかはありました (笑)。

 
 

『どうぶつの森』の原点は “名前を盗まれた街” にあったのかも…??

山: 話はちょっと戻るんですけど、目当てのゲームや番組の放送開始待ちの時は、“名前を盗まれた街” のマップ中をウロウロして時間を潰してました。『どうぶつの森』みたいに、釣りができたり、お金を貯めてアイテムを買ったりもできたんですよ。今考えたら、本当にアレが『どうぶつの森』の原点だったのかも…? あと、街の中をキャラクターが歩いてるんですけど、その日のニュースに合わせてしゃべるセリフが違っていたりするんですよね。
 
A: へー! それはスゴイ! それって誰かが…プレイヤー側からは当然無理だろうけど、スタッフが操作してたってことですかね?
 
山: いや、そこまでリアルタイムではなくて、キャラクターのセリフのリストだけ、ちょこちょこと書き換えてたんじゃないですかね?
 
A: そうでした、一方通行の放送番組なんだから、そもそもチャットみたいな会話はできませんもんね。ネットに慣れてしまった今となっては、なかなか当時の感覚がつかみづらいですが… でも相当オモロだったでしょうね。
 
▲『サテラビュー通信』’95年7月創刊号、番組表ページ扉。 “名前を盗まれた街” の全体マップが掲載されている

山: そうですね~。“名前を盗まれた街” のマップ自体にも謎解きが仕掛けられていて、キャラクターのセリフがその謎のヒントになっていたりもしましたね。あと、街の中に掲示板があって、ダウンロードしたゲームでハイスコアを出したらハガキで送るとそこのランキングに載るんですよ。僕もそれで1位になったことがあって、嬉しかったですね (笑)。

A: えッ、スコアをわざわざハガキで送るんですか!? なんてアナログな…(笑)。でもそうか、電子メールなんてまだ全然、みんなが使ってたわけじゃないし… プレイヤーから情報を送るには郵便しかなかったのか…。あ、だけどFAXとかは全然あったじゃないですか?

山: あー、どうだったんでしょう? FAXでも受け付けてたのかなぁ…。ちょっと忘れちゃいましたけど、僕はハガキで送ってましたねぇ。

A: ハイテクなんだかローテクなんだかわからない、デジアナハイブリッドな感じが面白いですね (笑) 。もしかして、掲示板には「売ります買います」みたいなのもあったりしました? ’90年代半ばごろって、個人の告知ばっかり載せてたリクルートの『じゃマール』とか流行ってたじゃないですか。そういう感じで…。

山: いや、そこまで個人情報が出ちゃうようなものはなかったですね。やっぱり、あくまで双方向ではない放送+ゲームというのが中心だったので。それでも、さっき言ったサウンドリンクゲームとかは、サテラビューのユーザーがみんなで一緒にプレイしてるっていう一体感があって、すごく楽しめましたよ。

A: なるほど、インターネット普及以前の過渡期にあって、既存の技術の組み合わせでいかに新たな体験を生み出すか、っていう。横井軍平さんの有名な言葉「枯れた技術の水平思考」を思い出しますね。まぁ、サテラビューの技術は当時そこまで枯れていたワケではなかったんでしょうけど。

山: 少なくとも僕は “これはスゴイ!” って、ワクワクして楽しんでましたよ。当初の目標のようには普及しなかったので、“任天堂の黒歴史のひとつ” みたいな言い方をする人もいますけど、そもそも触れた人が少なかったと思うんですよね。当時遊んでいた人なら、きっと僕と同じように楽しんでたハズですよ。

 
■PROFILE
山崎 功/やまざきいさお

昭和51年3月生まれで、学年的には昭和50年男。任天堂研究家&執筆家であり、『ファミコン コンプリートガイド デラックス』など、数々の作品を発表。昨年には『クラシックゲーム大博覧会 1972-1985』を上梓。『昭和40年男』本誌では1980年前後の電子ゲームを紹介する「デジとの遭遇」も連載中。


 
―といったところで、今回はココまで。当時は正直、サテラビューにあまり興味がなかったんですが、山崎さんの話を聞いているうちに、その過渡期ならではの実験性みたいなところに今さらながら、面白い!と思ってしまった筆者でした。

せっかくですし、サテラビューの他のオリジナルタイトルについてももっと触れてみたい! てなことで、近々また山崎さんとのトーク続編を公開できれば…と思っております。

反響次第…?かもですが、ドーゾお楽しみにッ!
  
(昭和40/50年男 “Web担当A”) ※文中敬称略

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