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放送とゲームの融合… それが「スーパーファミコンアワー」!
山: それに、ただゲームをダウンロードできるだけでなく、「スーパーファミコンアワー」は、“放送とゲームの融合” による、全く新しいエンターテイメントを目指していたんです。音声を中心とした番組もあって、要はラジオ的な内容に、データ放送で電子紙芝居的な画面をプラスしたり、連動するゲームで楽しめたり。タモリや伊集院光、爆笑問題、内田有紀なんかも番組を持っていたんですよ。当時の『ファミ通』や『ファミマガ』にも番組表が掲載されてましたよね。
A: あぁ、その辺はけっこう覚えてますね。あの頃は『ファミ通』を毎号買っていたと思うので…。今考えると、けっこうすごいメンツがそろってましたよね。でも、番組表の中身までそんなにじっくり見てみたことはなかったなぁ。
山: そういう番組もなかなか面白かったですよ。『ファミ通』からは『サテラビュー通信』という専門誌も出てて、さらに詳しい番組表や、番組内容の紹介とか、出演者に関する記事とかも掲載されてました。僕は当時毎号買ってたんですけど、今もそのまま全部持ってます。
A: さすがですね~ (笑)。番組表があって、放送からゲームをダウンロードってことは… まだちょっと完全にはイメージできてないんですけど、インターネットみたいに双方向でインタラクティブじゃないから、つまり時間帯によってダウンロードできるゲームが決まってる、ってことですよね?
山: そうです、そうです。番組表を見て「あ、今日の何時からアレがダウンロードできる!」というのを確認したら、その時間帯にスーファミを操作してダウンロードしに行くんです。サテラビュー同梱の専用カセット「BS-X」のラベルに「―それは名前を盗まれた街の物語―」ってサブタイトルが書かれてるんですけど、サテラビューの世界はこの “名前を盗まれた街” っていう設定なんですよね。で、サテラビューをセットして電源を入れると、まず『MOTHER』みたいなRPG風の2Dマップが広がってて、その中のある建物に入るとゲームを受信できる仕組みだったんです。
A: なるほど、やっぱり、そのゲームのデータが放送される時間はサテラビューに貼り付いていないといけなかったんですね。予約とかそういうこともできなかったんですか?
山: 一応、受信予約の機能はありました。予約して電源を入れっぱなしにしておくと、1本だけですけどダウンロードして、メモリーパックに保存しておくことはできましたね。
A: そうか、予約はできたんですね。でも1本だけ… それはちょっと厳しいな~。「8Mメモリーパック」というのが別売もされてたんですか。この8Mって8メガビット、つまり1メガバイトってことですよね? それでも当時1本5,000円もしてたんですねぇ。
山: そうですね。予約でなくても1本にせいぜい2~3本のゲームしか保存しておけないし、当時の感覚でもすごく高いなーって感じてました。だから、メモリーカセットを何本も買って持っておこうとは思わなかったんですよね。僕はあまり予約機能も使わずに、リアルタイムでゲームをダウンロードしていた気がします。
A: うーん、それは確かに、そうなっちゃいそうですね。コレクション的に保存しておく、っていう感覚では全然なくて、次々にリアルタイムでダウンロードして遊ぶって感じですかね。
山: でも “放送” ならではの、みんなが同じ時間にサテラビューの前に集まっているからこそ面白い、という仕掛けもちゃんと用意してあって。初期の広告には「音声連動BSスペシャルイベントゲーム」なんて書かれてましたが、雑誌では「サウンドリンクゲーム」と呼ばれていたヤツですね。これはまず、放送時間の最初にゲームのデータをダウンロードするんですね。その後、音声でストーリーの説明とか遊び方のガイドやヒントなんかが放送されて、それに合わせて、サテラビューのユーザーみんなが一斉にプレイしていくんです。
A: ほうほう、それこそまさに “放送とゲームの融合” の肝ってワケですね!
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