銀座4丁目交差点は、いつも変わらない姿を見せてくれる。目線を高くすれば、和光の時計塔にうっとりさせられる僕だ。その和光から山野楽器を過ぎてすぐのところのまさに一等地に、教文館という書店がある。1885年創業という老舗中の老舗で、こうした店舗が銀座を彩るのだ。
細長いビルの各フロアは主張の強い構成になっていて、じっくり巡るのが楽しい。が、この日はあまり時間がなかったので1階の雑誌コーナーを眺めることにした。なんせ現在、わが街浜松町には書店がないから、仕事の合間のわずかな時間でも見つければ入店するようにしている。で、入ると感涙モノのコーナーが目に飛び込んできた。このフロアのいっちばんいい場所で、わが社が誇る昭和シリーズのフェイスが出迎えてくれたのだ。『昭和40年男』『昭和50年男』『ザ・タイムマシン』である。心の歓喜を抑えながら僕の思考は今日のタイトルへと一直線で向かっていく。日本一高い土地として紹介される場所から数10メートルの所にあるこの店舗で、僕が手がける本たちは家賃をどれほど払えばいいのだろう。赤字だ、どんなにたくさん売れても家賃分は儲けていただけない。きっとそうに違いないと思い、僕はアクションを起こした。
あまり時間がなかったものの物色を始めた。埋まるはずのない赤字だが、せめて何か購入しないと気が済まぬと見つけたのが今日のビジュアルである。ヘンドリックスジャンキーとしては、先日日刊ゲンダイに掲載された読むツマミに最適じゃないかと手に取りレジへ。そしてどうしてもお礼が言いたくて、会計をしてくださったお兄さんに告げた。「この雑誌の編集長です。いい場所に置いていただきありがとうございます」と。するとその奥で作業していた女性の方まで立ち上がって、お2人で挨拶してくださるじゃないか。うーむ、やはり銀座だ。所作が一流である。
ちょっぴり照れ臭く、そして涙ぐむほどジーンとしながら店を後にした。そして慌てて選んだから持ち帰ってびっくり仰天だ。表紙にトップで掲載されている対談の主、藤江 博さんことJIMISENさんとはもう10年以上のお付き合いなのだ。ここのところ不義理してしまっているから、この文章を読み込んで会いに行こう。な〜んて楽しみまで付与してくれた教文館さんだった。
銀座にお立ち寄りの際には、ぜひ紙への愛と活字へのスピリットあふれるこの店にぜひ立ち寄っていただきたい。ちょっぴり恥ずかしそうに鎮座している僕の分身たちを笑っちゃってくだされ!! そしてうちの本で垂れ流しているかもしれない赤字を、どうか埋めてくだされっ(笑)。