今更ながらになる。アメリカの音楽雑誌『ローリングストーン』が去年発表した史上最も偉大なアルバム500枚 (500 Greatest Albums of All Time) を眺めてみた。前回の発表が2012年で、8年を経過して大異変となっていたのをこれまた今更ながら知ることになった。いやあ、おもしろいなあ。
ミュージシャンや評論家を含む、300人以上の音楽関係者からベスト50を提出させて集計したものだそうだ。さすがのスケール感で、しかも時代によってその重要度に移ろいがあるとの概念で作業に入っているとのことだ。すばらしいっ、パチパチ。
大きな差異にまずあげられるのが、タイトルしたとおりビートルズの評価の変化だ。アメリカにおいて、この8年でのビートルズの価値を考察するなんてテーマで呑み屋に集ったら、相当な盛り上がりを見せることだろう。その日のためにこのつぶやきからのコメントは差し控えてランキングだけを伝えよう。2012年版では1位に『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が燦然と輝き、以下3位『リボルバー』、5位『ラバーソウル』、10位『ホワイトアルバム』となっているのが、2020年版では5位に『アビイ・ロード』と激変している。1位だった『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は24位まで急落しているのだ。ちなみに今回ビートルズ部門 (!?) で首位になった『アビイ・ロード』は前回は14位で上から5番目だった。ねっ、これが持つ意味を論じたら3日3晩かかりそうじゃないか。
では、2020年版の1位はといえば、マービン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』で前回の6位からの見事な大逆転である。このアルバムが持つ意味がアメリカの音楽シーンや、それだけでなく社会問題までも含んで上がったということなのだろう。改めて訳詞と共に見直したいところだ。ランキングについてはサイトがたくさんアップしているから、興味のある方はそちらを見ていただくとして、僕が個人的に気になるランキングをかいつまんでみよう。
ストーンズはトップが『メインストリートのならず者』で14位にランクインされている。12年版は7位だから、ビートルズとともに価値は下がったという評価だ。僕にとってのストーンズベスト『レット・イット・ブリード』も前回32位から今回42位とやはり大きく落としている。マイベスト10枚にランクインする、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走』が18位から21位、ヘンドリックスの『アー・ユー・エクスペリエンスト?』が15位から30位、ザ・バンドもボブ・ディランも軒並み下降しているという結果であり、おっさんの嗜好は隅に追いやられていくということだ。まあ、そりゃあそうだな、チャンチャン。