いやあ今日の東京は寒いっ。そんな日はこいつに限ると出かけたのは、このつぶやきではお馴染みの、我が街浜松町が誇る老舗そば屋の『更科布屋』のカレー南蛮そばだ。薄く切った鶏肉には切れ目を入れるひと手間を施してあり、この店はこうした当たり前だけどよそがおろそかにしていることがキチンとしていて気持ちがいい。薬味のネギも包丁切りで丁寧にほぐしてあり、これも本来であればあたり前田のクラッカーなことながら機械で刻んでそのまんまというところがある。そう細かなことを言うなかれという気がしなくもないが、だからこそ逆にこうしてキチンとしているところに感動させられるのだ。
なんで今日のタイトルでこのビジュアルなんだと当然なるだろう。だが聡明な方はお気づきかもしれない。好敵手といえば、現在好評発売中の『昭和50年男』の特集タイトルなのだ。アムロとシャアが表紙となった大ボリューム特集で、まだウチの会社には在庫があるから後輩に教えてやってくだせえ。
で、さらに聡明な方は今日のタイトルでこの写真が出てくることを瞬時に読んでいたでしょう。そう、絶品のカレー南蛮を食いながら頭に浮かぶのはたぬきそばの存在だ。『更科布屋』ではメニューにない。なんでも人を化かすような物は置かないというのが江戸時代から続くそば屋の流儀のようだが、頼めば出てくる。夏は季節メニューとして冷やしが堂々ラインナップされるのだが、そこらへんの柔軟さと守ることは守るという部分のバランスがここはすこぶる良く、僕を惹きつけるのだ。で、たぬきといえば会社から最も近いそば屋で、こちらも更科を名乗っていた店が絶品だったのだがコロナに負けた。心の底から残念無念である。たぬきそばが無い人生はありえないところに、芝商店街にある昭和なそば屋がどっこい支えてくれていてそれがこの写真の一杯だ。
布屋更科よりは街そば屋の装いが強く、これもまたいとおかしである。そして、同じくあたり前田のクラッカーのひと手間をやり通してくれているのは、短冊切りのネギを出汁で一煮立ちさせていることだ。これによってどんぶりの中の熱々となるし、煮たネギと薬味ネギの香りの1足す1が3以上になる。うむうむ、僕にとって冬そばの好敵手はまったく優劣がつけられない。長きに渡って永遠の2品である。
ちなみに『昭和50年男』の特集の中には、武蔵と青葉というラーメン対決のセクションがあるのだが、僕は双方食ったことがない。これは世代の問題か。はたまた、僕がおっさんすぎてそばばかり食ってゆえか。教えてちょんまげ(出た〜、死語!!)。