今年の漢字は『絆』に決まった。『災』とか『震』をおさえて、1位となったのはネガティブよりも少しでもいい方へ向かって頑張ろうという、多くの応募者からのメッセージなのだろう。先日ここに書いたとおりになって、少しホッとしたようなあたたかな気分になった。
美しい言葉だ。希薄になっていた言葉でもあるから、今年再確認できたことはネガティブ要因とはいえ、将来に向けていい方に向いている。僕たち昭和40年男は、まだ絆ってヤツが希薄でなかった時代を生き、栄養にして成長してきた。だからなのかもしれない。『昭和40年男』でもっとも強く前面に押し出していきたいテーマを、共感としているのだ。互いに社会の中での様々な困難に立ち向かっている。しんどい思いをしているまっただ中で、少しでも心の安らぎになるように互いの共感を得られるような本になりたい。逆境を笑い飛ばして負けないように踏ん張っていく元気を見せ合いながら、前へと進む活力になりたい。それによって社会に元気を還元していく、すなわち絆の連鎖であるのだ。
今年の一字を受けて、福島の方にあなたにとってはとの問いに、『嘘』と答えてらっしゃった姿は思わず姿勢を正した。絆でよかったなどとほざける状況にいる自分なのだと、再確認したのだった。見えない汚染にビクビクさせられ、その上嘘で塗り固められた報道や政治家の発言、バカげた東電の発表などと、どれほど人を傷つけたことだろう。絶対に許してはならない。こうした部分にもコミットしていく昭和40年男でいたいなと、ふんどしを締めなおした僕でもある。
絆。下を向いて諦めかけた人があふれている昨今の日本を、いい方へと導く1つのキーワードである。小さくてもいいのだ。心の震えを大切にして、世の中に積極的に出していくことと、人の声を真摯に受け止める気持ちをもっともっと強く持ちたい。今年の一字にそんな思いを強くしたのだった。