先日NHKで放送された山口百恵さんのさよならコンサートを録画した。お気楽な気持ちで再生したのだが、こいつがとんでもない衝撃だったのだ。
百恵さんというと、僕にとってはなんとなく上の世代のアイドルと感じられる。明菜ちゃんが俺たちのタメ年で、僕と同じ7月生まれ。聖子ちゃんは37年の早生まれだから4つ上になる。俺たち世代にとって歌うアイドルとは、お2人がど真ん中にズドーンといるのではなかろうか。対して花の中3トリオと呼ばれた、百恵・淳子・昌子のお三方は少し上世代のアイドルといった印象が強い。『ザ・ベストテン』で久米 宏さんがものすごくファンだったことも、百恵ちゃんを少し遠ざける要因だった気がする。だからだろうか、これほどまですごいとはこの歳まで気がつかなかった。
歌が圧倒的にうまくピッチもリズムも完璧であり、歌うお姿が凛としていて美しく神々しい。こりゃあ女神様だなと何度もうなづきながら、その歌唱に聴き入ってしまった。NHKさんありがとうな気分で見入ったのだが、この日は少し遅い時間だったから改めて最初から通しで見ようと断腸の思いで別のコンテンツに切り替えたのだった。
以前『昭和40年男』で、写真の「俺たちをドキドキさせた女神たち」という特集号(2013年7月発売)を打ち込み、その中に阿木燿子さんのインタビューを組み入れた。彼女の詞の世界に登場する女こそ女神だとして話を伺ったのだが、この時に当然ながら百恵さんについて語ってもらい、タメ年ライターの濱口とともにものすごく感動したセリフがあった。「本当に、本当にすごい人でした。あれだけの歌手にはもう会えないでしょうね。魂が練れているというか、輪廻の回数が多いんだろうなという感じ」とのこと。輪廻の回数が多いってどんだけ作詞家なんだと感心させられたとともに、あれだけ多くの女性シンガーに詞を提供してきた彼女がそこまでの評価をすることにも驚いた。山口百恵とは、それほどの存在なのだ。
と、あれからもうすぐ8年が経過するってのに、やっとその言葉を心から感じることができたのはなんちゅう不届きものなんじゃ。すんません、阿木さん。あなたのいう通りでした、チャンチャン。