その発症の主な原因は動脈硬化と言われている脳梗塞。脳内の血管が細くなったり、血栓ができて血管が詰まってしまい血液の流入が止まり、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなると、脳の神経細胞が壊死してしまいます。一命を取り止めても重篤な後遺症がのこることも多いとてもこわい病気のひとつです。
先月20日、爆笑問題の田中裕二さんが脳梗塞で倒れ、入院したというニュースが流れ大変驚きましたが、幸い発見が早かったこともあり、一週間ほどで退院し1ヶ月くらいの療養で仕事に復帰できそうだということでした。大事に至らず本当によかったです。田中さんといえば、早生まれの昭和40年男です。同い年の人が脳梗塞(くも膜下出血も併発していたようです)と聞くと、他人事とは思えませんよね…。今現在、生活習慣病などを抱えている人は、自分もいつ罹ってもおかしくはないとあらためて肝に銘じたことでしょう。脳梗塞、死に直結する病気であるというこわさと、ある日突然襲ってくるこわさがありますが、同じように罹った人でも、後遺症もなく退院できる人と、亡くなってしまったり、大きな後遺症が残ってしまう人には、どんな違いがあるのかが気になります。
とにかく早期発見が大事
もちろん、血栓の大きさや詰まった場所なども人それぞれ違うと思うので、経過や予後も一人として同じということはないと思いますが、どんな場合でも、とにかく早期に気づいて診療、治療を受けることが大事なのは言うまでもありません。「普段とちょっと違う」というのを見逃さないことが大事です。たとえば脳梗塞などの脳血管系の発病兆候の顕著な例に「言葉がうまくでてこない」というのがあります。呂律がまわらず、うまく話せない時は脳梗塞などの発症を疑いましょう。また、手のひらを上にして両腕を伸ばすと、片方の腕が下がる、歩こうとすると身体が傾くなど、左右の動きが異なるという形でも現れます。もうひとつ、わかりやすい兆候として「視野の一部が欠けて見える」という症状が出るそうです。左右の目で片方ずつ見ても両方とも同じように欠けて見える場合には、目の病気ではなく脳梗塞を疑ったほうがいいようです。
日頃他の人とあまり話す機会がない場合(一人暮らしで仕事なども黙々系だったり)、呂律がまわらないということにすぐには気づきにくいかもしれません。視野が欠けて見えるというのは最も気づきやすい変化かもしれませんので、目の健康のためにも時折遠くを眺めるなどしながら、視界が抜け落ちて見えないかどうかもチェックしてみるのがいいでしょう。
50代も後半に差しかかると、身体にガタがくるのは否めませんが、できるなら病気にならないように気をつけたいです。前述のようにこわいと思っていた脳梗塞も早めに気づくことができれば、治療によって早く回復させることができますので、身体が発するサインを見逃さないように常に身体の声に耳を傾けましょう。そして、血液がドロドロになっていたのなら、それを改善する努力も必要になってきます。原因を解決しなければ、またいつか同じことを繰り返してしまうことは言うまでもないのですから。
それでは、脳梗塞などの発症に早期に気づくためのとても大事な3つのポイントをいま一度!
1.体の左右どちらかが上手く動かせなくなる。手のひらを上にして両腕を伸ばすと、片方の腕が下がる。歩こうとすると体が傾く。顔も左右の動きが異なるなど。
2.上手く話せない。言葉が出てこない。思ったことが言えない。ろれつが回らないなど。
3.視野の一部が欠けて見える。左右の目で片方ずつ見ても両方とも同じように欠けて見えるときには、脳梗塞を疑う。
このような兆候がもしみられた場合、少し時間が経ってよくなったとしても、絶対に病院に行くべきであると言われています。なぜなら、一度詰まった(詰まりかけた)血栓が流れだしても、さらに細い血管などで再度詰まる可能性があるからです。そしてそれはかなりの高い確率で再発すると言われていますので、一度上記のような症状が出た場合には、速やかに医療機関で受診して、必要ならば治療を受けることをおすすめします。
また、田中さんの場合、昨年感染した新型コロナウイルスの影響もあるのではないかと言われています。まだ因果関係がはっきりしたわけではありませんが、海外などでは、新型コロナが治癒した後も後遺症として起きるさまざまな症状のなかに血栓ができやすくなるという報告も一部みられ、それが原因であることを全く否定することもできない曖昧な状況です。こういった事例を踏まえて、新型コロナウイルス感染症にかかった後に、どのような後遺症がでるのかということもより詳細に解明されるといいなと思います。
とにかく、脳梗塞は発症したら24時間以内に処置を行うかどうかが、その後の大きな分かれ目になると言います。異変に気づいたら、すぐに近くにいる人に声をかけて適切な治療を受けてください。