昨日お伝えした通り、途切れてしまったブログ更新記録だが、気を取り直して再開します。
来年1月11日発売となる次号は地獄のごとく年末進行で、きりきり舞いになりながら取材を進めている。先週末は連載企画『東海道徒歩の旅』のロケに出かけてきた。名古屋の熱田神宮からスタートした徒歩旅は、天気に苦しめられた3日間だった。初日こそなんとかもった天気は2日目から崩れ、時々小雨が混じるバッドコンディションになったが、キンキタコンビは毎度のおばか炸裂で歩き切ったのだった。
この企画としてはイレギュラーとなるが、初日はゴールとする京都から遠ざかるように歩いた。金の鯱は外せない。名古屋の中心地も外せないだろうと、熱田神宮から名古屋城方向を目指したのだ。これがけっこうな距離で、到着して見学を済ませるとすでに夕刻になっていて、この日は名古屋駅前に宿泊となったから、京都へはほとんど進まなかったことになる。
翌日は距離を稼ごうと、5時スタートの予定にしたが、ぬぁんとこのワタクシ寝坊をやらかしてしまい、30分遅れになってしまった(恥)。真っ暗の道をグングンと進んでいくとやがて雨が降り出して、コンビニでビニール傘を購入した。ビニールガッパの方が楽に歩けるだろうと選択に悩んだが、傘で旅というバカバカしさがなんとなく自分たちにフィットしていると思い決定した。傘は雨粒すべてを遮断できるわけでなく、少しずつ僕たちの体を濡らしていった。気温もかなり低く苦行のようになった道で、やがてオアシスを見つけた。愛知文化が誇る喫茶店は、冷えきった体に熱を戻してくれた。つらさの向こう側にはかならせず幸せがあるのだね。そして感動したのはモーニングセットで、飲み物価格のままで卵のホットサンドと付け合わせに少量のパスタとサラダ、ヨーグルトまでついていた。昔は東京でもよくあったサービスだが、最近は個人経営の喫茶店がほとんどなくなり、こうしたオツなサービスも見なくなったな。
世の中は資本を大きく持っているところが次々と小をなぎ倒していく。この喫茶店もいつまでこのままでいられるか。近くに大型のショッピングセンターができて、飲食チェーン店が何店も展開されたらおしまいだろうな。実際、シャッターストリートの向こう側に要塞のような大型ショッピングセンターがそびえ立つ、そんな光景を旅の途中で何度も見せつけられている。強者は弱者をすべてのみ込んでいく。
そんな風景ばかり見せつけられてきたが、この日のゴール地点となった桑名の街はステキだった。街自体になんともいえない気品があるように感じられた。商店街が元気で、ご近所さん同士のコミュニケーションがしっかりと残っている。街の中を互いの金が循環して生活を支え合う暮らし。競争でなく共存の街ゆえの豊かさは、現代社会においてはない物ねだりになりつつあるが、こうして頑張っているところもあるのだ。
そして長く続いてきた街だから、旅人をやさしく迎え入れてくれる。街とは流れてきた時間までも内包して、表情を形成するのだ。こんな街を経済社会はいくつ奪ってしまったのだろうか? ステキな街だらけの日本に戻せたらと思うが、同時に現在においては困難だと思ってしまう自分が悲しい。
桑名の方々からの応援を受け、翌日は寝坊することなく5時に出発した。朝から強い雨に振られ、トラブル発生…。これは長い話になるから次号の本文でしっかりと読んで頂戴。今回も乞うご期待ですぞ。