不定期連載『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』のエアロスミス編の続きだ。この連載は、洋楽邦楽問わず音楽クレイジーだった昭和40年男にとっての名盤を、各ミュージシャンから1枚、僕の独断でセレクトしている。悩みに悩んで名盤認定したのは『ロックス(Rocks)』だ。エアチェックしたテープを繰り返し聴き続けていた僕は、中2の冬休みにお年玉で『ドロー・ザ・ライン(Draw The Line)』を購入した。デビューから数えて5枚目のアルバムで、今となっては駄作と評価されることの方が多いが、当時の僕は気に入って聴きまくった。初期のエアロとしては、ギミックが多いレコーディングで練り込まれたアルバムで、これに好感を持ったのは、まだまだハードロックやクイーンなども嗜好の中に入っていた時期だからだろう。
『ドロー・ザ・ライン(Draw The Line)』のライナーノーツでは、前作の『ロックス(Rocks)』を褒めちぎり、それまで築きあげてきたスタイルが転換したことを騒いでいた。なんだそうだったのかと、僕は続けざまに『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys In The Attic)』を買った。ライナーノーツだけでなく、その他少ない情報ながら『ロックス(Rocks)』が最高傑作だというのは掴んでいた。だが、例のベストテープに『ロックス(Rocks)』から収められた曲『バック・イン・ザ・サドル』や『ラスト・チャイルド』のよさがイマイチわからず、『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys In The Attic)』から選ばれていたタイトルチューンや『ウォーク・ディス・ウェイ』に惹かれたのだった。ロックに関しては早熟な中学生であったが、『バック・イン・ザ・サドル』をベストとするにはもう少しの時間が必要だったのだ。僕のセンスではジャケットも『ロックス(Rocks)』より『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys In The Attic)』のほうがイカしていると感じて、あまり悩まないで購入したのだった。こいつは『ドロー・ザ・ライン(Draw The Line)』よりはるかにいい。ストレートなヘビィロックという言い方を使って、エアロを褒めちぎるようになった決定的なアルバムになった。(続く)