久しぶりにお届けしている、不定期連載『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』 エアロスミス編の続きだ。洋楽邦楽問わず雑食のごとく音楽を取り込んできた昭和40年男にとっての名盤を、各ミュージシャンから1枚、僕の独断でセレクトしている。みんな大好きエアロスミスからは、ちょっとストレートすぎるが『ロックス(Rocks)』を選んだ。
当時、洋楽の情報源は乏しく、定期的な入手先として雑誌『ミュージック・ライフ』と、FMラジオ番組『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』は欠かさずチェックしていた。おかげで、同級生の間では音楽通を名乗れた。加えてFMのエアチェックを情報源にしていたから、中学時代にはすでにエアロにたどり着いていたのだ、エッヘン。レッド・ツェッペリンの時にもふれたが、中2のときに忘れもしない企画があった。アーティストごとにファーストアルバムから数曲ずつをセレクトして流すというありがたい番組で、当然エアロの時はエアチェックしてパワープレイしていた。その冬には前回も駄作と述べた『ナイト・イン・ザ・ラッツ(Night In The Rats)』が出て、『ミュージックライフ』でもエアロを記事に取り上げ、ダイヤトーンポップスベストテンではシングルカットされた『リメンバー』がチャートを上がっていった。それほど上の方まで行かなかったものの、個人的には好感触を持っていた。
洋楽にハマって2年目の冬を迎え、少ないながらもお年玉収入の予想をもとに、2学期終盤は予算編成ばかりを考えていた。1年前のクイーンに変わって、この年の主役はエアロスミスとなっており、その時点で発売されていた全てのアルバムがターゲットになるほどハマっていた。テープに収められた名曲の数々がエアロフリークとなった大きな理由であるが、『ミュージックライフ』に掲載されていたライブの写真があまりにもカッコよかったことも大きい。スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーのコンビは、中学生の目にはミックとキースより得点が高く、アイドルとしても君臨していたのである。ちょっとひねくれた理由として、周囲の誰も興味を持っていなかったからというのもある。キッス、パープル、ツェッペリン、ストーンズ、ビートルズなど、おいしいミュージシャンたちのヘビーユーザーがそれぞれいたが、なぜかエアロは抜けていてオピニオンリーダーになれた。うーむ、いやなガキだな。
そして、悩み抜いて買ったのは『ドロー・ザ・ライン(Draw The Line)』だった。へっ? 今考えると不思議な選択であるが、当時は古いアルバムでさえ悪評は立ちづらい。僕はエアチェックしたベストテープに収めた『キングス・アンド・クイーンズ』にシビレてしまったのだ。クイーン熱をまだ持っていたことや、ハードロックが好きだったことが大きかったのだろう。今冷静に聴くと、エアロの中では大した作品でないが、僕にとっては大きな存在感を持っている。冒頭のタイトルチューンも大好きで、とくに最後のスティーブンのシャウトにシビレまくった。こうして僕はエアロ中毒になり、高校1年生まではツェッペリンをやや抑え、フェイバリットバンドとして長く君臨した。(続く)
小学五年生の時に、ドローザラインに衝撃を受けて35年。今でも私のiPhoneには、エアロの曲がぎっしり詰まってます。
すげー早熟ですね。お兄さん、お姉さんの影響ですか? 僕のiPhoneもぎっしりですよ。