今では数百万円で取り引きされている(ウソ) 創刊号の特集は、ご覧の通り「ヒーローから学ぶ、あと一歩の底力。」とした。創刊号ってのは、ミュージシャンにとってのファーストアルバムと一緒で、そいつの姿勢がもっともシンプルに表現される。『昭和40年男』は、それまでなかった世にも不思議な年齢限定雑誌で、このアイデアを同業界のある先輩は発明だと褒めてくれた。しかも僕自身の年で勝負するという大胆すぎる発想(あっさりパクられたが) で、思いついた日からずいぶんの年月にわたって悩み抜いて勝負に踏み切った(あっさり… えーいうるさいっ・笑)。
そのファーストアルバム…もとい創刊号はふさわしいテーマの企画が目白押しで、まさしく僕のやりたい放題である。「ヒーローから学ぶ、あと一歩の底力。」の見出しには、今も続く連載企画の「夢、あふれていた俺たちの時代」も躍っていたりする。今見返すと作りの悪い部分は散見されるが、やりきっている感じと荒削りのパワーがみなぎっていてこれはこれでよい。
僕のヒーロー信仰のファーストアタックであり、中心に存在したのは仮面ライダーだ。元々は生身の人間だったという設定がいい。巨大化しないのも、それまで再放送で何度も見ていたウルトラマンと違って新鮮だった。ガキの僕は、大人になったらあの苦しそうな手術を受けて仮面ライダーになるなんて夢描いた。この話を「浅草秘密基地」でしたらバカだと笑われたが…。
何度も立ち上がるライダーの姿は俺たち世代のDNAとなっている。どんなピンチにも諦めない姿勢と、自分がやらなければならぬと背負い込む責任感を仮面ライダーはもちろん、多くの昭和ヒーローたちから学んだ。「キャシャーンがやらねば誰がやる」も大好きなセリフで、忙しく狂いそうな時にこの言葉を心に灯す僕だ。ともかく僕が、人生最初に描いた夢は “仮面ライダーになりたい” だった。
やがて成長とともに、ヒーローにリアルを求めていく。ブラウン管の中で演じられる刑事や教師といった存在や、その役者さん自身だったり、シンガーなんかがヒーローになっていく。甲斐よしひろさんはヒーローになるのは今と歌い上げた。その姿にうっとりしながら、僕もいつかこんなヒーローになろうと夢描いた。まだギターを手にする以前のことだったが、やがてシンガーを夢見ることになるきっかけになったという意味では仮面ライダーと双璧だ。
と、そんな俺たちにとってのヒーローをあーだこーだと考えているのは、こんなイベントを開催するからだ。藤沢市民限定で恐縮ながら、40万人以上が暮らす市だとのことだからきっと『昭和40年男』読者はいることだろう。このイベントではそれぞれの最後に、バーチャル部門、リアル部門それぞれで俺たちの昭和ヒーローベスト3を選出して、このつぶやきで発表する予定だから乞うご期待。つうか、藤沢市のみなさんは今すぐご応募くだされ!!