さてさて、令和2年も残り10日を切った。そろそろ振り返ってもバチは当たるまい。となれば、僕の生活の中心にあるのは『昭和40年男』だから、表紙で一年を振り返りたくなる。今年1発目となった、毎年恒例の年末進行を乗り切ってリリースした新年号の表紙がこれだっ!!
新しい10年のスタートだからと企てたのが、59回目の勝負となったこいつだ。まず巻頭特集を “1980年” とした。これまでの人生で、西暦〇〇年代の節目をいくつも経験してきた。それらは、時代の転換を感じさせられるし、〇〇年代とくくって論じるのは楽しい。70年代を幼少から少年期で駆け抜け迎えた1980年は、昭和40年男にとって10代後半への突入である。人生で最も揺れ、悩み、そして成長するハイティーン時代の幕開けとなった年だ。そして日本にとってこの年には特別な光があることはいつもうなづいてしまうことで、「持ってるぜ」と胸を張る。
特集はいきなり江口寿史さんと田中康夫さんのインタビュー記事の、4ページ×2発で始まる。1980年を語っていただくのにまさしく適任だ。江口さんの記事ではポップカルチャー革命年として、それを牽引した張本人の言葉が躍る。
「80年っていうと、いろいろなものが一気に花開いた気がする」とは、インタビュースタートの言葉だ。少年マンガ誌の枠をはみ出るようなセンスを俺たちにバシバシ送ってくれた江口さんで、特に新進のミュージシャンの取り上げ方は鋭すぎた。『すすめ!! パイレーツ』に登場するミュージシャンは新しいだけでなく、江口さん独自のセンスでふるいにかけるかのようにして送り込んでくれた。後に俺たちを虜にした『ストップ!! ひばりくん!』に関しては「僕の絵でひばりくんを可愛く描けば描くほど、おかしな話になるわけで」としている。うーむ、確かに。
さらに20年代の幕開けを記念して打ち込んだのが、連載特集の『夢、あふれていた俺たちの時代』で “1970年” を取り上げたのだ。そもそもこの特集は対象を、昭和40年男にとって記憶が鮮明になり始めただろう1971年から昭和の最終年ということで1988年までとしていて、現在4周目の旅に出ている。改元の時にチャンス到来と昭和64年、つまり平成元年を初めて取り上げてみたのに続き、この2020年騒ぎに乗じてこの特集では初めて1970年を切り取ったのだ。それを表紙で思いっきりアピールした、新年のご挨拶だったのさ。