電線がちょっとうるさいが、家から駅へと向かう途中にある大イチョウで、ご覧の通りまだまだ黄葉には程遠い。この大イチョウは奥手で毎年よそよりもだいぶ遅れてから見事な色を見せてくれ、お正月前後にすべての葉が散るようにまるで設定されているかのごとくだ。これから日に日に色づいていくのを楽しみながら、年の瀬の喧騒へと気合を充填してもらうのである。
そう、今日カレンダーはついにアンカーに引き継がれた。乗り越えなければならない仕事や、その合間にある楽しい催しを満喫しながら過ごす31日間は、人生に潤いをくれる。寒さの深まりもいとおかしで、もういくつ寝ると〜と口ずさみながら毎日過ごす。
「よいお年を」
大好きな言葉だ。相手の幸福を願い発する言葉のなんと美しいことよ。お正月が好きなのも「おめでとう」と交わされるからだ。相手のことを考えて発するこの美しい言葉たちこそ日本人の精神であり、そう発せられることこそいい人生だ。街のあちこちからこの気持ちがあふれ出てくるから、年末年始はピカピカする。そしてそう感じたいから、苦しい日々を生き抜くことに努力しているのだ。
今年のネガティブを言ったらきりがないからやめよう。こんなことがなくたって、加齢とは人生を困難にするものだし、でも逆にそれを乗り越える力をつけていくこともまた加齢である。20歳の頃だったら、今の苦境に耐えられないと思う。55歳はガハハとはね飛ばす必殺技がしっかりと備わっていて、きっとこれからもその力は増していけるのだろう。なんて思えることを少しだけ誇りにして、さあラストスパートだぜっ!! 全力でいくぜっ!!