第97話 “大”編集後記。(6)

予算が湯水のようにあればそれにこしたことはないのも同様だが、
小さな出版社にとって、そんなことは夢のまた夢だ、
となると、できる限り工夫でやりくりするようになる。
広告する予算がないのだったら、書店の棚が勝負になる。
そこにはどんなライバルがいて
手にとってもらえるようにするにはどうしたらいいのか?
自分の感性を信じて深く深く考察する。
つねに書店の棚でシミュレーション勝負をしながら、自分の技術を高めていく。
手に取ってくれたらどうすればレジへと運んでくれるか?
いつも考え抜いているから
この出版不況のなか、なんとかおまんまが食えているのだろう。

“雑”じゃない雑誌が増えたことも、
なんとかやっていけている要素だと思っている。
商品名に“雑”が付くものなのに、
なんだか縛られている人が多くて、
ずいぶんとライバルが減って助かっているというか。

俺を育ててくれた雑誌たちは、
ホントになんでもありだった。
そういう時代の人たちが
逆にいつの間にか雑誌における常識をつくっていって、
型にはめ込んでいったのだと思う(一部ね)。

ロックも一緒。
どうつくろうと、どう歌おうと
「あんたの好きにやりなよ」ってのが、
本来のロックそのものでしょ。
“雑誌”と“ロック”。
すごーく似てる。
大人たちがこねくり回してつまらなくしてしまったことと、
それでもリアルに進化している両面を持っていることとか。
俺はこのフィールドで「なんでもありだからな、好きにやったれ」と
いつも励まされているような気がするんですよ。
「はーい、がんばりま〜す」ってか。

もうちょっというと、すごく技術が高くてセンスもある人が
その殻を破りながら楽曲を書き上げて
誰をも圧倒するパワーを身につけてプレイされたらもうなにもいうことない。
曲の完成度ばかり高いと嫌味だし、パワーだけじゃうるさいし。
ねっ、フィフティフィフティのバランスが大事でしょ。
双方が高くなるように日々努力する。
それがロックだー!!!
じゃない雑誌づくりだー!!!!!!!!!!!

その意味で、冷静に今回の本作りを振り返ると、
かなりうるさい作品になっている。
技術よりパワーの方が勝っているもの。
今、次号に向けて毎日素振りをしてます。
少しでも技術を上げて、そのうえで今回以上にパワーを注入した
バランスのいい一冊を目指しますので、ぜひご期待ください。
こんなにがなり立てるようなヤツがバランスを取れるのかと
自分自身で突っ込みたくなるが、とにかく前へと進みます。

お付き合いいただきありがとうございました。
(了)

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