第94話 “大” 編集後記。(3)

「いろんなことをやっているんですね」

と、言われることがある。
いつもヤレヤレと心の中で思う。

「んなこたぁねえんだよーっ!!」
と、心の中で叫んでから
「いやぁ、そんなことないですよ」
とヘラヘラ笑って話をそらす。
本気で興味がある人だったり、
本気で付きあっていきたい人にはキチンと説明する。
が、興味本位でテキトーに聞いてくる人に説明したところで、
お互いに時間がもったいない(ホラッ、ケチだねぇ)。

いろんなことやっているどころか、
むしろものすごく狭い範囲で生きている。
数少ない一所懸命続けているのは、
好きなことなんですよ。
そりゃー好きなことをやるためですから、
寝不足だってするし、無理だってする。
人に頭を下げたって、土下座したって、
笑われたって、いじめられたって、
大して苦にならない。

なんで好きなのか?
自分の精魂込めてつくったもので、
喜んでもらえる瞬間を知っているからだ。
そういう意味で俺はアーティストにはなれない。
だって人様の評価を気にしてつくっているんだもの。
絶対的な自分が存在して、
そいつが求めるがままにつくって、
誰の評価も気にせず幸せ気分を味わえちゃうような人がアーティストだよ。
そんな勇気も度胸も、俺は持ち合わせちゃいない。

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