発売日を迎えた今日は、なんともゴロがいい2011年11月11日で、ちょっと惜しいのは第10号なこと。11号だったらおもしろかったなと思いつつ、次号は1月11日発売(予)で第11号となるから、年末年始発行の双方で縁起がいい(笑)。つうわけで、本日めでたい発売日を迎えた。祝杯ジャー、酒を持てぇーい。
特集が決まり、ぼんやりとイメージした表紙のアイディアがあった。白地に特集で取り上げたものを5〜10点くらい散りばめるというもの。特徴ある部位を目一杯フォーカスして、カッコいいグリッドを組んだ中に入れようかなと考えていた。このアイディアは少々カタチを変えて、特集冒頭のトビラページ(P6・7)になっている。今これを読んで、すでに購入した方はなるほどなとニヤついたことだろう。トビラページでは「これ、なんでしょう?」とした遊びのキャッチだが、もしも表紙だったら「どれ欲しかった?」にして、特集タイトルも「我ら、物欲世代」とか、渇きに渇いていた昭和40年男を直撃するコミュニケーションにしていたかもしれない。だいぶ固まっていたのに、特集内のウォークマンの写真を眺めながら、欲しかったなあと回想していたら表紙にしたくなっちまった。急遽撮影を敢行してもらい、採用となった赤バックとこの青バックの写真を受け取った。迷いに迷って赤バージョンの表紙にしたのは、これから冬が本格化していく中で寒々しいのと、前号と少しイメージが重なるから。出来上がってみて、いい選択をしたと思っている。
なぜウォークマンに心動いたのか解説させていただこう(ここも併せてどうぞ)。僕の生家は街の小さな電気屋さんで、ナショナルショップを展開していた。親父は専売ショップはおもしろくないと、多分一悶着はあったとは思うがシャープとも契約していた。親父がよく語っていたのが、日立と東芝、松下のいずれかが、当時の家電販売店としては強いメーカーで、松下幸之助が大好きだからナショナルを選択するのに迷いはなかったと。加えて新進のメーカーをひとつ扱いたくて、ソニーとシャープで悩んだ末に、家電メーカーとしてはシャープが伸びていくだろうと決めたとのことで、どちらを選んでも結果的には正解だっただろうが、東京下町でご近所を相手にする電気屋さんということでは、シャープであたっていたかもしれない。売れ筋は白もので、ソニーを支持するような若者世代は、当時でさえ近所の電気屋から離れ始めていたから。それに実際シャープは頑張った。斬新なものを生み出す元気なメーカーとして徐々にイメージを上げていき、販売店には圧倒的な営業力で迫った。卸の掛け率交渉ができたり、販売店向けキャンペーンなども積極的だった。僕の幼少のころは、販売店家族招待のイベントが数多く催され、シャープの方が圧倒的に多かった。さらに、営業マンが居間に上がり込んで飯を食ったり酒を呑んだりしていくのもシャープで、そんな家族ぐるみの付き合いをした松下の営業マンは、僕の記憶に1人もいない。お袋は松下の人たちはエリートだからとよく言っていた。ともかく両メーカーともによく売れて、親父の選択は正しかったと思う。
だが、僕にとって電気屋であることはつまらなかった。家電選択に松下とシャープしかなく、電気屋でない友達をうらやましく思ったほどで、とくにオーディオブームのときはつらかった。アンプはどこでスピーカーはどこがいいなんて、専門誌を片手に議論に参加はするものの、僕にはテクニクスかオプトニカ(当時のシャープの音響プランド)しか選択肢がない。そんな冷や飯を食わされていたようなところに、脅威の製品が誕生した。それが、ウォークマンだったのである。欲しかった。でもよそのメーカーのものをねだることなんてできないし、自分の小遣いを貯金して買うという選択肢もなかった。親の商売は絶対であり、ソニー製品を手にすることなど想像すらできなかった僕だ。
あの日の強い憧れが、今回の表紙へと誘ったのかもしれない。そんな想い出までも込めてつくった第10号が、書店に並んでいるぞ。いざっ、勝負じゃ!!
地方出身者である私の幼少期の悔しい思い出の一つに、ミラーマンとゲッターロボをTVで見れなかったことがあります。ミラーマンは、ストーリー付きのEPレコードだけは持っていて、「ア~サヤケェーノォ」で始まる主題歌は今でも歌えます(笑)。ウチのオヤジは、SEIKOの特約店に勤めていたので、カシオのデジタルやシチズンのデジアナとかが買えない環境でした。家電もナショナルかビクターだけ。なので、本当はこっちが欲しいのに・・・という少年期のモヤモヤ感はよく分かります。でも、結果この経験も、王道だけを良しとしない”外し”の哲学や、大人の世界にある”空気を読む”ことの訓練になってたんでしょうね(笑)。
ハハハ、SEIKOですか。ミラーマンのストーリー付きは僕も持っていた記憶があります。名曲ですよね。
>> あらこ さん
間違えた。2月。2月28日生まれ。40年男の範囲っす
ウォークマンを持っていましたか、うらやましいです。末永くついて来てもらえたら、幸せです。
表紙のウォークマンにやられました。雑誌の存在自体に気づかなかったのが悔しい41年4月生まれ。憧れモノ大全の80%は同意(自転車とギターだけは別世界だったんで)。お年玉で初代ウォークマンを買った時の感動と言ったら・・・なんて雑誌が存在したんだ。今後もついていきます!
たいへんご無沙汰しております、山内です。ウォークマンの表1!素晴らしいですね!
凛と立つウォークマンの姿を見て、襟を正さずにはいられません。
〝音楽を外へ連れ出す〟しかも自分だけの世界…。
日本の家電が、性能はもちろん〝アイデア〟で世界をブッチぎった瞬間でした。
僕らの世代は皆、あの時代の熱を心のどこかに今も持ち続けているはず。
ああでもない、こうでもない状態のニッポンをぶち破れるような、
なんだか、すこぶる元気が湧いてきましたよ。
では2ヶ月ぶりに、じっくり誌面を楽しませていただきます!!
ご無沙汰してます。襟を正して頑張りましょう。浅草秘密基地は休まず営業していますから、時間があるときにでもぜひ。