明日は発売日だ。早いもので『昭和40年男』にとって今年最後の勝負となる。大胆なタイトルをつけてしまい、賛否両論が巻き上がるのではなかろうか。先輩方からは叩かれるかもしれないが、この雑誌はあくまで“俺たち”の雑誌を貫いている。表紙発表の先週金曜日につぶやいたとおりで、ロックはいつの時代も進化しながら若者たちと寄り添ってきた。そして今回の特集は、俺たち世代にとって覚醒させられたロックとはなんぞやという特集である。
中学に入学する直前の冬に『ザ・ベストテン』が始まった。この番組の影響をもろに受けた世代とも言えるのではなかろうか。ちょいと遡って、前年の暮れにレコード大賞を受賞した『勝手にしやがれ』は、僕にとって少しロックだった。かっこよさに心奪われたからロックなんだと、まさに勝手にしやがった感覚だ。そして始まった『ザ・ベストテン 』の第1回放送でも、ビンクレディーやキャンディーズ、ヒデキ・ヒロミ・ゴローが歌謡曲の王道ソングでランクインしている中で、ジュリーの『憎み切れないろくでなし』は少し違っていてロックを感じさせる。『勝手にしやがれ』以上だ。『ザ・ベストテン 』はこの日以降、最も重要な音楽情報入手番組になった。やがて原田真二さんや世良公則さんらがチャートを賑わせ、夏にはサザンオールスターズの大騒ぎが放送されて俺たちは電気ショックを味わった。それまで知らなかったミュージシャンの名前を次々に知る番組になり、そんな中でもロック的なものに心奪われたのは中1という背伸びな歳が深く関係している。
秋にはさらに、テレビドラマから衝撃が起こる。日テレがすげースケール感で作った『西遊記』で、ゴダイゴに強い衝撃を受けた。少し以前には永ちゃんがクールなバラードをヒットさせ、これもそれまで知らないロックの世界に感じられた。これらが全て昭和53年のことなのだからすごい。
つうわけで、我々編集部は昭和53年をロック元年に認定したのである。起点の年であり、ブラウン管が最重要だとも定義づけたのだ。これもまた勝手にしやがった僕なのさ。それ以前のロックはどちらかといえばアングラだったが、この年お茶の間から市民権を得たことは大きい意味を持つ。大衆音楽と言うなかれ。これらを足がかりに、俺たちはロックジャンキーとして飛び立って行けたのだから。だからね、くどいようですが誰がなんと言おうが“俺たち”のロック元年は昭和53年なのさっ!!