日産は『GT-R』の2012年モデルを11月24日より発売することを発表した。昭和40年男なら、“GT-R”と聞いて知らない人はいないだろう。言わずと知れたロードゴーイングレーサーで、数々の伝説を今に伝える一台である。
今回発売する2012年モデルでは、エンジンの効率を高めることで最高出力と燃費(CO2排出量低減)を同時に向上している。エンジン一基一基にインテークマニホールドとヘッドの合わせ工程をほどこし、インタークーラーのダクト断面を拡大することで、通気抵抗を減少させた。また、排気効率及び軽量化のため、床下キャタライザーをコンパクト化し、通気抵抗を軽減。さらにエキゾーストバルブの冷却性能を高めるため、金属ナトリウムを封入した新設計のバルブを採用し、バルブタイミングと空燃比、点火時期の制御が見直された。
ボディ側でもこうしたエンジン出力の向上に伴い、エンジンルーム後部、ダッシュパネル周辺を中心に強化することで、より運転操作へのレスポンスと限界域での踏ん張り感の向上を狙っている。1台1台実施する車体の加振検査においては、ボディ剛性と減衰性を検査するセンサーの計測点を変更し、より感度の高い部位へ高精度加速度センサーを追加することで、検出能力を向上させ、より厳密な生産精度を追求している。
また、トランスミッションでは、シフトフォークのアーム設計とフライホイールハウジングのベアリング固定をより強固にすることで、シフトフィールと静粛性を向上。NISMOがモータースポーツ専用としてラインナップするディファレンシャル用オイルを全車に標準設定している。
さらに興味深い変更点としては、右ハンドル車ではドライバーの重量分が車体の右側に多く加わることと、前輪を駆動するプロペラシャフトが中心より右側に位置するGT-Rの構造を考慮し、サスペンションのセッティングを左右で異なる左右非対称セッティングを導入。フロントはスプリングの左側バネレートをハードにセッティングし、リヤは従来左右対称であったサスペンションアームを左側は上半角、右側には下半角を持たせて装着することで、停車時にはアンバランスである輪荷重を走行中に均等化させ、コーナリングの安定感や乗り心地に加え、ステアリングを動かした瞬間に伝わる反力感や滑らかさも向上しているという。
この他にも以下のような変更点がある。
・NCCB(Nissan Carbon Ceramic Brake)をメーカーオプション設定。
・タコメーターのリング内側にブルーのイルミネーションを追加
・BOSEサウンドシステムのウーファーを変更し、音質を向上。
・よりスパルタンなカスタマイズオプション「For TRACK PACK」を設定
年々アップデートされ、高性能化、熟成化が進むGT-R。ニッサンファンにはたまらない一台だ。