「月桃(げっとう)」という植物をご存じですか? 女性の方ですと、化粧水や石鹸などにその成分が含まれていることで、知っているという方も多いと思いますが、昭和40年男の皆さんには、あまり接点がないかもしれませんね。熱帯から亜熱帯の地域に分布しているということで、日本では沖縄に広く自生する植物です。沖縄では「サンニン」と呼ばれ、民家の軒先で普通に見かけるようなポピュラーな植物だそうですが、鹿児島の佐多岬が北限ということで、本州で自生している月桃を目にすることはまずなさそうです。
この月桃の葉は、昔から健康と長寿を願って食べるという沖縄の冬の風物詩である縁起物の「ムーチー(餅菓子)」を包むことに使われているそうなのですが、葉には抗菌作用があり、さらに防虫・消臭、なんと腸を整える効果もあると言われ、薬草として利用されていたということです。健康を願うお餅を包むにはまさにぴったりですね。とても大きな葉(40~70cm)なので、お餅に限らず蒸し料理には重宝されていて、その独特の香りがシンプルな調理法でも、出来上がりを特別なものにしてくれるようです。
そして、月桃から作られたお茶にもその効能は活かされています。月桃茶はノンカフェインなので、お水を飲むように飲んで構わないのだとか。月桃の葉に含まれる豊富なポリフェノールと、整腸効果が期待される種子(実)がブレンドされたものもあるそうですので、血液サラサラ&お腹の調子を整えたいという方には月桃茶、いいかもですよ。
月桃のここがスゴイというポイントをまとめてみると…
1.抗菌効果があり、虫よけや消臭にも効果的。
葉には、臭いを消したり、虫が嫌がる成分が含まれているため、葉をちぎって袋に入れ、タンスや玄関先に置けば防虫&消臭に。生の葉は手に入りにくいですが、同エキスを浸透させた小袋タイプの製品もあります。
2.心地よい香りでリラックスできる。
さわやかな甘い香りが心を癒してくれます。アロマオイルの素材などにもよく利用されていて、エッセンシャルオイルなどで販売されています。
3.腸を整えてくれる
抗酸化作用が強く、活性酸素を抑制するポリフェノールが豊富に含まれているので、葉や実を使ったお茶やハーブティーを飲んでみましょう。
4.紙の素材にも適している。
なんと茎の繊維は紙の材料としても利用されています。前述のように、防虫効果などもあることから障子紙や襖紙に用いられることが多いですが、お土産としてのポストカードやレターセットも人気だそうです。
古来、沖縄の暮らしに根付いてごく自然に日々の生活に使われてきたものですが、月桃を知らない青森育ちの私にとっては、こんな重宝できれいな植物が庭先に生えているなんて、やっぱり南国には憧れる理由がいろいろとあるんです! 薬草と聞いて庭に生えていたものといえば、ドクダミくらいしか思い浮かびませんが、月桃のような華やかなイメージはなく、癒しとも縁遠いような…。そう考えると、身体にいいのに見た目もきれい、香りも心を和ませ、しかも紙にまでなる!なんともお役立ちな月桃ですね。
最初に述べたとおり、沖縄に行くと玄関口である那覇空港では月桃の成分が入っているというスキンケア化粧品が必ず売っていますので、私もその存在は知っていました。しかし実は、化粧品だけではなく、蒸し料理の包みになるとか、防虫・防臭効果もあるとか、今まで知らなかった月桃の力をあらためて知って驚きました。今はまだ、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、旅行に行くのはしばらく自粛する予定ですが、きちんと落ち着いたらまた沖縄に行ってみたいです。そしてその時は、化粧品以外にも月桃グッズをいろいろ探してみようと思います。昔の人の知恵はすばらしい!沖縄の月桃はスゴイ!ですね。