久しぶりにストーンズでも観るかと、何気なーく棚から引っ張り出したのがこのDVDだ。クレジットは1998年で、前年にリリースされた『ブリッジズ・トゥ・バビロン』をひっさげての大規模なツアーから収録されている。新しく感じるこの辺のストーンズも前世紀であり20年以上経つのかと思った次に、僕の脳が「待てよ」と動いた。ミック・ジャガーとキース・リチャーズは同じ歳で43年生まれの22個上だ。てことはだ、目の前でロックしている2人は現在の僕とタメ年の可能性が極めて高いじゃないか。どころかもしかしたら97年収録で、1コ下の2人かもしれない。いずれにせよ同世代だ。思わず自分のたるんだ腹を撫でてしまったのは、ミックのボディが凄すぎるからだ。
ピンクのシャツが体のラインにピッタリと張り付いていて、「薄っ」と思わず声に出た。そして「お尻ちっちゃ」だ。美しくしなやかに、そして激しく動き回る。さらに歌い続けているってのに汗がほとんど見えない。どれだけの修練を積みあげれば、こんなすごいボディと体力を手に入れられるんだと驚愕である。いつものようにのんびり楽しもうと思ったのに、かつてのタメ年男たちに刺激されっぱなしだった。
往年のロックスターに残念な思いをさせられることは多い。大好きなザ・バンドの再結成後の公演に2度出かけたのだが、1回目の時はしっかりと保っていたのに2回目のリック・ダンゴはすっかり巨漢になっていた。ストーンズはストーンズであり続けるために、自らを保たなければならない掟があるのだろうが、ザ・バンドにはないのだ(笑)。ロン・ウッドも年上のチャーリー・ワッツもピッタリした衣装で細身をアピールしていた。が、同じストーンズにいたミック・テイラーには、先日の来日公演でがっかりさせられた。ストーンズを離れればその掟から解放されて、好き放題飲み食いできるのだろう。
僕らはストーンズじゃないし、ミック・テイラーでいいと開き直ればラクなのだが、こうして見せつけられるとやはり強い刺激になる。55歳って、かつては自分がそこまで長寿をまっとうできるというイメージがなかった。でも至ってみて、こんなにも元気だとはちょっと想定外だ。もちろん、加齢による様々なガタがきていることは感じるが、ひとまず元気でガハハと生きていることは頑丈に産んでくれたおっかさんに感謝だな。だったら感謝を込めてもう少しの努力をしよう。約2時間のライブ映像は、ミックやメンバーからまるで説教されている気分だった。ありがとよっ!!