エステーは、一般家庭でも安心して使える性能と価格を実現した家庭用放射線測定器『エアカウンター』を本日10月20日から発売する。当初の発表よりもさらに性能をアップさせた上、1万5,750円としていた希望小売価格を税込み9,800円に改定した。販売ルートについても、関東、東北のドラッグストア、ホームセンターを予定していたが、その需要の高さから福島県を中心に先行発売すると発表している。
『エアカウンター』は、自宅や家庭菜園場、公園の砂場など放射線が気になる場所で、地上から1mの高さにおいて放射線のひとつである空気中のガンマ線を0.05μSv/h〜9.99μSv/hの範囲で測定する機器。放射線に半導体センサーが反応し、発生した電荷を信号に変えてカウント、時間あたりのカウント数を放射線量の換算式(セシウム基準/Cs137)によって、1時間あたりの人に対する放射線の影響がどれだけあるかを表す単位である毎時マイクロシーベルトに変換し表示する。この半導体センサーには、医療機関で使用されるエックス線計測器の技術を応用したシリコンフォトダイオードが採用され、β線をカットするフィルターを内蔵しているため、より高い精度でγ線を測定することができるという。(測定値については、国の認定を受けた第三者機関によって、国家標準に基づいた校正を実施し、承認を受けているとのこと)
本体は82×62×34(mm)の丸みを帯びたコンパクト設計。表示部には40×25(mm)の大型LCD液晶を採用し、文字も大きく、見やすい。ボタンひとつで操作も簡単だ。電源は単4アルカリ電池2本を使用。1日1時間の使用で約2ヶ月間、連続使用では約50時間の使用が可能。精密な本体を衝撃やキズ、放射性物質による汚染から保護するシリコンジャケットが付属している。また、首都大学東京の福士政広教授が監修した放射線についての基礎知識を掲載した小冊子「正しく覚えよう!放射線の基礎知識」がセットになっている。この冊子制作にあたっては、報道番組等での放射線解説にあたる首都大学東京大学院、人間健康科学研究科放射線科学域の福士政広教授が開発当初から監修を行ない、同大学との共同開発となっている。
発売に当たっては、より安く、より性能の高い放射線測定器を提供するため、日進月歩の進化を続ける半導体センサーの性能向上をより高く引き出す他社からの技術を導入し、当初発表よりも感度の性能アップが図られた。放射線を測定する感度が上がったことで、最大約10分であった測定時間を最大約5分にて測定が可能となり、約半分に大幅短縮しているとのこと。同社ではこの『エアカウンター』に続き、来春には第2弾として、さらにスリムで軽量、低価格を実現する家庭用放射線測定器『エアカウンターS(仮称)』を発売するとしており、今回は新機種の発売決定に伴って、第1弾の『エアカウンター』の価格を値下げする決定をしたという。
震災後の需要により全国的に品薄が続く個人向け外部被ばく線量計。また、扱いには知識が必要で、価格もかなり高価であった。海外製品が多く、品質や信頼性などの面で不安を感じてしまう面もあり、国内メーカーによる安価な本製品は大いに活用されるものと思われる。今後の新製品の動きにも注目したい。