昨日、一昨日に続いて 、今日の “大編集後記” も連載特集の「夢、あふれていた俺たちの時代」からつぶやかせていただこう。今回取り上げた昭和58年は、今も多くの支持を集める孤高のシンガー、尾崎 豊さんのデビュー年だった。そしてご存知の方も多かろう、彼は昭和40年男だ。タメ年なのだ。もしも…と、どうしても考えてしまう。生きていれば「荒海に生きるタメ年男。」へのご登場を依頼していただろうし、特集の中に組み込んで取り上げることにもトライしていただろう。ずいぶん長い時を経たが残念でならない。それはもちろん、てめえの雑誌のためでなく偉大なシンガーとしてだ。
今回は「夢、あふれていた俺たちの時代」という連載特集の性格上、昭和58年のデビューにまつわる話に絞り込んだ。ご登場いただいたのは、現在も活躍するアートディレクターの田島照久さんだ。記事のタイトルバックとなったジャケットを手がけた方で、デビュー前の様子なども強く記憶していた。
このジャケットに込められた意味や、尾崎さんにまつわるエピソードを語ってくださったばかりでなく、採用された写真の前後連続写真を提供してくださった。そう、田島さんは写真家でもある。その連続写真で特集自体の扉ページを作っているから、尾崎ファンの方は我々世代でなくとも必見だ。
いやはや、凄いデビューアルバムだ。僕はリアルタイムでは彼の歌にはハマらなかった。バイト先の有線で流れている曲としてしか捉えておらず、タメ年ということすら知らなかった。今あらためて「15の夜」を聴くと、タメ年男の18歳当時の叫びと、15歳を綴った言葉に強く感情移入させられる。そして、こんな気持ちを僕も持っていたし、今も持ち続けているというシンパシーを感じる。だからやはり、生きていてほしかったと強く強く思わされた。