第79話 このタイミングで出張?

 
10月16日。
本来ならもう発売しているはずであったこの本の制作によって
遅れるであろう既存の仕事を前々から組んでいたのは、
スーパーハイパービジネスマン(なんだ?)としては当たり前。
キャンセルのできるものはなんとかしたが、
この日ばかりはどうにもならなかった。

後ろ髪を引っこ抜かれそうになりながらも、
編集部に指示を出し新幹線に乗り込んだ。
チェックしなければならない原稿をカバンから取り出し、チェックを始めたが
新横浜のアナウンスさえ聞かないうちにフリーズした
スーパーハイパービジネスマンだった。

しばしの時間を経て「やばっ」と跳ね起きると、
目的地の1つ手前の駅。
「ふーっ」
胸をなで下ろしながら、
ほとんどチェックが進まなかった原稿の束をカバンに戻し、
しばし本のことは頭から離して
スーパーハイパービジネスマン(えーいっ、しつこい!!)に変身するのさ。

我々はバイクの本からスタートした出版社であり、
バイク関連の既存の仕事もすごく大切だ。
新しいことを立ち上げたからって
これまでお世話になった方々を裏切るわけにはいかない。
それにね、バイク関連の人っていい人が多いんだよ。
“趣味のもの”だからだと思う。
バイクって趣味のものの中では、かなり高額じゃない。
それを楽しんでくれる人たちのことを日夜考えているわけだよ。

こうすれば楽しんでくれる。
きっと笑顔が生まれる。
ベクトルがまっすぐなんだよね。
男にとって、仕事が占める時間はすごく大きい。
その時間中、つねにこんな方向を向いて頭を動かしていたら、
やっぱりその人間も魅力的になるのは自然なことなんだろうな。

俺にとっては、最後の…、ホントに最後の追い込みに向けて
いい気分転換にもなった一泊二日出張だった。

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