14日未明に出発したイベント仕事への出張で、47という数字に達する、ある偉業を成し遂げた。奇しくも齢46にして47に到達したのは、すべての都道府県での宿泊&呑みである。これがすごいかどうかは別としても、自分史においての達成感はある。平成23年10月15日は、呑んべえ家系の北村家において未来永劫語り継がれることになったのである(笑)。
今回訪れたのは、タイトルどおり佐賀県だ。これまで何度も通り過ぎたことはあり、確か昼飯を食ったこともある。だがそれでは制覇したことにはならず、僕としてはやはりその地で呑んでこそ記録達成なのである。大した意味などないが、そこはこだわりなのだ。46都道府県までを30代で制覇していたから、最後の佐賀県にずいぶんと手間取ってしまった。記録達成のための旅行なんぞ組めるはずもなく、時間はどんどん過ぎ去っていたところに、今回やっとチャンスが回ってきたのだ。
バイク関連の雑誌に関わっているからできた記録である。バイク旅の企画や、今回のようなイベントの仕事が頻繁にあるから、ビジネスでは行かないようなところでも訪れるチャンスがグーンと広がる。逆に商談で訪れた場所の方が断然少なくて、記憶をたどっていくと北海道、福島、栃木、千葉、埼玉、神奈川、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、高地、福岡で東京を含めると14に過ぎない。ということは、実に33もの県にバイクがらみの仕事で行かせてもらったことになる。ありがたい。
県というエリアは、明治以降の枠組みであるから歴史としては浅く、現在にいたってもかつての国境の方が文化の香りを感じることが多い。が、それはそれ。現代人が築き上げた各都道府県にもキチンとアイデンティティがあり、守るべき文化がある。触れる度に日本の広さを感じ、また訪れたくなる。そんな気持ちが、僕のなかにいる旅人をいつも刺激してくれる。
ここで47都道府県制覇の偉業(?)を記念して、僕の好きな都道府県を発表してみよう。どこも取材で訪れた瞬間や場所によって印象は異なるはずだから、切り口が必要ということになる。そこでテーマを“呑んべえ”とした。これもたまたま出会った店や主、周囲の客によるところは大きいが、酒呑み文化研究家の僕の想いからきているものなので、あながちあなどれないぞ(笑)。ではいってみよう。
第5位、大阪府。うまくて安い。街は猥雑でスリリングでグチャグチャしていて僕にぴったりだ。肩の力を抜いてくれるという意味では最高で、ややハートが強めの大阪人がまたいい。アチコチのテーブルで展開されている議論は、まるでケンカである。これをBGMにしての焼酎がまた合うのだ。僕は一時、十三のそばに住んでいたから、チャンスがあるとあの街で安酒をあおる。
第4位、福井県。日本海の幸は太平洋側とは異なものが多く、食べ方も実に多彩で呑んべえ万歳なのである。また土地のアチコチから歴史に裏打ちされた文化の香りがして、人もおおらかで落ち着きがあってよい。
第3位、高知県。豪快である。男がピカピカである。そして呑んべえ万歳この上ない。桂浜の海と四万十川と、緑豊かな山々に囲まれていながらにして、土佐城下は呑み屋のがあふれている。老後に住みたい場所でもある。
第2位、福岡県。つうか、絶対博多である。男がピカピカであるのは高知同様だが、包み込む女に繊細さがある。酒好きの男たちと、それをわかっている女の関係がすこぶるよいということだ。うまい食い物確率といえばよいのだろうか、日本一の街であると思う。まずいものを探すのが大変なくらい、のれんを出している以上、うまくなけりゃダメだよという気概にあふれている。ここ十数年で、観光客向けの高い屋台が増えたことをのぞけば、弱点は見当たらない。
第1位、東京都。ごめんなさい、やっぱり生まれ育った街なので。ひどい呑み屋ややる気のない呑み屋があること自体も含め、すべてが呑んべえ万歳である。
次点は岡山県、石川県、富山県あたりかな。まあ、よい呑み屋にあたればどこも天国、今宵も最高なのである。あっ、そうそう、今夜は1週空いた『浅草秘密基地』だ。都道府県自慢大会を開催しようぜ!!