実はかなり怖い、突然の低血圧の巻

血圧と聞けば、「高いとよくない」というイメージがあります。というか、無自覚のまま血圧の高い状態が続くと、動脈硬化を進行させてしまい、ひいては心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害につながる危険性があるのは、誰しもご存じだと思います。50代男性の実に4人に一人が血圧高めと言われる時代ですので、食事などにかなり気を遣っている、あるいはすでに薬で抑えているという人も少なくないでしょう。そんな血圧ですが、突然低くなるのも実はとても怖いのです。

低血圧になると、めまいが起きたり、ふらついて意識がもうろうとするなどの症状がでますが、極度の血圧低下で気を失ってしまうような場合をショック状態といいます。全身に十分な血液が供給されなくなって血流不足により脳や臓器などが損傷を受けることもあるため、生命が危険にさらされてしまいます。ケガなどによって大量に出血した時や、特に出血をしていなくても特定の心疾患をもっている方、アレルギーなどでアナフィラキシーを起こしたりした場合にも細動脈の拡張が引き起こされて、極端な低血圧を引き起こすことがあるそうです。

 

 

実は先週金曜日の夜遅くに連れ合いが突然ふらふらと倒れ込み、「動けない」というので血圧を測ったところ、上が80で下が50、脈拍は70台でしたが、普段と比べるとかなりの低血圧になっていました。気を失うほどではありませんでしたが、体温もいつもの平熱より低く、脳にあまり血液がまわっていないのか、目がうつろで会話はできるものの、ちょっと心配な状態でした。もともと心臓の持病もあるのですが、あまりそういう状態になったことはなかったので、とにかく水分と塩分を摂らせ、頭の方に血液が行きやすくなるように、頭を低めにして寝かせました。「救急車を呼ぼうか?」と聞くと「大丈夫」と返事をするので、とりあえず意識を失っていないかを注意しながら一晩様子を見たところ、幸い翌朝には血圧も体温も正常に戻っていました。

一人の時に倒れる怖さ

何が直接の原因だったのか、はっきりとはわかりませんが、汗をびっしょりかいていたので、脱水症状になっていたのかもしれません。エアコンはつけていましたので、そんなに汗をかくほどの室温ではなかったはずですが、軽くお酒を飲んだ後にうたた寝をしたことでなんらかの悪条件が重なり、心臓に負担がかかり汗をかき、脱水症状から低血圧…といった経過だったのでしょうか。こういった状態になった時は、自分ひとりでは水分を摂るのも難しく、無理に立ち上がって転倒して頭を打つなどした場合はさらに危険な状態になります。もし一人でいる時に低血圧のような症状が起きた場合は、まず横になって、少し落ち着いたら立ち上がらずに移動して水分補給をすることをおすすめします(ただし、「ふらつき」を通り越して、気を失いそうな場合はすぐに119番、もしくはすぐ来てくれそうな知人や家族に電話をしましょう)。アルコールは血管を拡張させて血圧を下げる傾向がありますので、血圧が低くなっている時には摂取を控えてください。ご存じだとは思いますが、アルコールは水分補給にはならないどころか、逆に脱水症状を起こしますので普段から、あまり飲み過ぎないに越したことはありません。

自分の血圧を知っておこう

血圧は高くても低くてもよくないことがわかったところで、自分にできることは何かといえば…。常に正常値を保つようにこころがけるため、一日一回決まった時間に測定して、自分の通常の値を知っておくことではないでしょうか。135/85以上であれば高血圧と言われていますが、140/90未満であれば正常血圧範囲内です。しかし、理想的な数値はといえば、120/80未満が循環器病のリスクが最も低いそうなので、高めの人はこの120/80という数値を意識してみてください。ちなみに低い方はといいますと、100/60を切ると一般的には低血圧と言われていますが、私などは時々そのくらいに下がりますが、ふらつきやめまいなどの自覚症状はないので、あまり気にしません。いつも自分の許容範囲を知っていれば、むやみに不安になることもないですから、体温を測るように血圧を測る習慣をつけてみませんか? 体温同様に、血圧は健康状態を知るバロメータです。120/80という理想の数値をしっかりと覚えて、できるならそれに近づけたいものですね!

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