編集部の棚にはお宝がたくさんあって、漁ると仕事にならない危険なゾーンである。我が編集部員は今日はお休みのようでガランとしているもんだから、ついついその危険ゾーンを覗き込んでしまい、こいつを見つけてしまった。おーっ、懐かしい。僕もこの単行本を持っていたし、『少年ジャンプ』のお祭りだった愛読者賞でリアルタイムに読んだ。「さもないと アンモナイト」のギャグを教室で称え合った日が鮮やかに思い起こされる。単行本の初版は81年の6月と奥付にあり、僕が高1の頃ということになるが、この作品を最初に読んだのが中坊だったことは、前述した教室が中学校だったから間違いない。さらに強く中坊へと結びつける記憶がある。
1年に1冊しか描かない愛読者賞作品を掲載した短編集なのだと、編集後記で江口先生が語っている。その中にあって、この単行本のタイトルで巻頭でぶちかましている『GO AHEAD!!』について解説しよう。
右ページのタイトルに、対向ページはギブソンのネックヘッドに「せえの…」の吹き出しがかっこいい。開くと演奏が始まるのだ。右ページをいっぱいに使ってバンドの演奏シーンが描かれている。リーダーと目されるベース&ヴォーカルは、カーズのヴォーカリストのリック・オケイセックがモチーフだと僕は睨んでいる。ドラム、ギター、本人はシンセサイザーと名乗っている鍵盤の4人バンドで、左ページで3コマ使い演奏している曲が明らかになる。ぬぁんと「年下の男の子」だ。ここまでの4ページに詰め込まれた情報量はハンパでない。そしてそのセンスたるや、天才ってのはいるんだと凡才は落胆させられる。
江口先生のこの作品についての言葉に、
“友情、努力、ライバル、勝利という古くてありふれたパターンを、「スポーツ」でなく「ロック」で描いた「少年マンガ」なのです。”
とある。
主人公の男子4人バンドに対して、3人の女の子バンドがそのライバルで、バンドコンテストに向けて2つのバンドが特訓中だ。ちなみにこのバンドのギター&ヴォーカルの山口は、ひばりくんのまるで原型ですげ〜カワイイ。で、ひょんなことで双方のバンドのギタリストがそれぞれ右左の指を骨折してしまう。出場辞退を考えるも、コンテスト出場に向けて練り出した必殺技が2人弾きだ。男がフレットを押さえ、山口がピッキングする。ピタリと息の合った演奏に拍手喝采だったが、結局優勝は逃してしまいバンドは特別賞を獲得し、加えて最優秀ギタリスト賞もいただくという、まさに江口先生のおっしゃる通りの作品だ。
さてさて、実はこの2人弾きこそ中坊の頃の大切な想い出だ。組んでいたバンドの初お披露目にしたのが、中坊として最後の日だろうと81年の3月31日だった。このライブ(というほどのものではなかったが)で、僕はこのシーンを真似て相棒と2人弾きを披露したのだ。曲はキッスの「ドゥ・ユー・ラブ・ミー」で、シンプルな間奏にこのアイデアをぶつけたのはさすが僕だ。って、あまりうまく響かなかったけどね(笑)。
このマンガ、登場人物がそれぞれカッコよくて、ルックスとかマネした覚えがありますー。2人弾き実際にやられたんですね!おっしゃる通り選曲がドンピシャですね。素晴らしい思い出ですね。
おおーっ、読まれたのですね。
カンタンな曲をセレクトして、かなり練習を積んだのですがイマイチでした。が、おっしゃるとおりいい思い出です。