少し以前、北新地のことをつぶやいた。偉大なるブルースマン、上田正樹さんと有山じゅんじさんのスーパー演奏が詰まっている1975年リリースのアルバム『ぼちぼちいこか』は、昨日ご紹介したチャーさんのデビューアルバムとは対極にありながら、日本の音楽シーンにとって大変意義のある作品だ。その後のジャパンロックの発展に大きく寄与して、スピードアップさせた功績がある。その『ぼちぼちいこか』には名曲が多く収められていて、そのひとつ「梅田からナンバまで」を口ずさみながら、先日まさにそのコースを楽しんだ。
♩散歩しましょう、御堂筋でも〜 と歌われているとおり御堂筋をのんびりと歩く。4キロ強の距離で、心身ともにゆ〜っくりした気分になれるから僕は度々このコースを散歩する。曲では彼女と腕組んでなのだが、残念ながらこの日の僕はひとりぼっちだった。が、夏の日差しを浴びながら汗をダラダラ流しての散歩は夏生まれの夏好きには至福で、途中寄り道を繰り返しナンバに着くと界隈の散策を楽しむ。外国人がいなくなっても、だいぶ活気は戻っていて楽しい気分を味わえた。やがて心斎橋方向へと折り返すのもお決まりのコースで、やがて、かに道楽のオブジェと写真のこいつの見事な共演が迎え入れてくれるのだ。ご周知のとおり、残念ながらづぼらやは100年守ってきたのれんを下ろした。
今朝、新世界のづぼらやの看板が外されている映像を情報バラエティで見た。寂しい光景だ。コロナごときで屈してくれるなと、わがままながら言いたくなってしまうが、判断する方々は悩みに悩み抜いての決断だったのだ。それが形になっていくのを見させられたのが、今朝の報道だった。街のシンボルだったから、地元っ子たちはさぞ寂しい想いでいることだろう。
コロナに屈してしまった、僕が通った地元スナックの看板はまだある。営業していないのに、あればあったでまた寂しいものだ。この店では店頭でチビたんという猫を飼っていて、閉店とともにママさんが引き取ったのだろう、街からいなくなった。朝の通勤時に、撫で撫でしながら癒されていた方々は多かった。いやはや、いろんなものが奪われていくもので、これ以上何も奪わないでくれと祈るばかりの毎日だ(泣)。