レッド・ツェッペリンで「懐かしの名盤」を綴っている最中であるが、今日悲しい知らせを聞いてしまった。追悼の意味を込めて特別編を割り込ませてもらおう。
出会いは衝撃的だった。洋楽に興味を持ち始めて、ちょうどギターを弾き始めた中1だったと記憶している。昭和40男にとってお馴染みの歌謡番組、『夜のヒットスタジオ』に登場したひげのおっちゃんは、番組にまったく似つかわしくないなという第一印象を持った。演奏が始まると黒のストラトで痺れるテーマソロを弾き、続けて渋い声で歌い始めたのは、名曲「雨に泣いている」だった。「うわーっ、なんじゃこりゃー!! やたらカッチョいいぞ」と、ノックアウト状態で、柳ジョージというボーカリストの名前とレイニーウッドというバンド名を強く胸に刻んだ。ブラウン管の中で展開されたこのシーンが、記憶に残っている昭和40年男は多いのではないだろうか?
当時、洋楽情報は愛読していた『ミュージック・ライフ』と、それ以外にも専門誌が充実していたが、邦楽のこうした渋い連中の情報はわりと取りづらかった。なので強烈な記憶だったわりには、本格的に聴き始めるまで期間が空いてしまったのは、RCサクセションと同様である。また、興味の中心があまりにも洋楽に行き過ぎていて、レコード店で手に取ることはあっても、少ない予算を回すには至らないくらいの洋楽信者だった。周囲にもその存在を知っている者はほとんどなく、強烈な記憶だけを残したままレコード購入にはいたらなかった。
再び柳ジョージさんの声に触れたのは、数々のCMからだった。「微笑みの法則 〜スマイル・オン・ミー」は、資生堂のCMソングで知ることになったのだが、なぜあの声で資生堂?と今でこそ「?」が頭に浮かぶが、当時は資生堂やカネボウなど化粧品メーカーのタイアップソングは強烈な楽曲が多かった。キヨシロー&教授、世良さんや堀内孝雄さんの「君のひとみは10000ボルト」なんて名曲もあった。その一つなのだと考えれば、まったく違和感はない。
そして数多い柳ジョージさんのCMソングの決定版といえば、あの強烈な映像から流れた曲じゃないかな? 岸辺に立った少年の後ろ姿の向こうで、船が川 (海?) を駆けていく。ここで流れたのが「さらばミシシッピー」だ。パイオニアのラジカセで「ランナウェイ」だったから、相性だってバッチリだった。大ヒットというわけではなかったけど、昭和40年男の中には名曲として刻まれていることだろう。この曲によって、僕の中に好きなミュージシャンとしてしっかりと刻まれたのだった。つづく
柳ジョージ、永いこといろいろありがとう。グレコのギターを弾いていたね。すっかり憧れて、エレキ買うならグレコに決めたもんでした。
ストラトのイメージが強いアンタでしたが、フライングVも使っていたよね。ハードロック用をなぜとガキん時は思っていたけど、アルバート・キングだったんだよね。クラプトンがエクスプローラー使っていたのと同じ気分だったのかな。
カッコいいんだこの人。あの、デイブ・メイソンみたいな八二分けだけにはずっと抵抗あったけど。いや、あれもロイ・ブキャナンへのオマージュだったのかもしれない。
というよう横文字の世界を、貴方は優しく教えてくれた。