立派にそびえ立つ塔を見上げて、砂の嵐に〜♪なんて名曲を思わず口ずさんだ本日の早朝だった。ほぼ完成のように見える新しいビルは、今後大きく変わろうとしている浜松町が誇る貿易センタービル南館だ。1970年に完成した、当時日本一高いビルはこの南館とのツインタワーとして生まれ変わる。向こう側に見えているのが、残念ながら解体が決まっている50年の歴史を刻んだそのビルだ。なんだかね、威風堂々としていて好きなんですよ。それとこのつぶやきでは度々登場する、昭和な地下食品街がなくなるのがものすごくさびしい。新しいビルの食品街って、値段が高くて従業員が無機質で、営業展開も無個性な飲食店が多くて、つまらないところが多いんだよなあ。でもそこは十分にわかっているはずの貿易センタービルだ。期待は寄せている。あっ、ちなみに左にちょこっと写っているのが、一足お先に開業した日本生命浜松町クレアビルだ。こいつもスゲーが食品街は…、うーむ。
オリンピックに間に合わせる予定でいたのに、コロナの影響で開業が遅れているのかなと思っていたところ、調べてみると来年の3月竣工予定だ。本家の解体は2021年と何かで知ったが、おそらく始まるのは南館の竣工以降だろう。来年早々にお別れだと思っていたから、ちょっぴりうれしい。さよならまで思う存分楽しませてもらうことにする。冬になったら、初の展望台に上ろうと思っている。厳密に言えば、ガキの頃連れてきてもらっているかもしれんが、東京タワーを満喫しにマジックアワーに訪れたい。読者の皆さんと遠足もいいな。
地下食品街の味噌ラーメンや塩っぱいチャーハン(同一店舗)が、まだまだ食える。昭和なイタリアンのモルツビールも捨てがたい。江戸時代から続く僕のお気に入りそば屋の、更科布屋の支店もここにある。おばちゃんたちが、客からうるさいと叱られているのを目撃したことがあるほど元気がよくて、人あたりもすこぶるいい。12月30日の仕事納めの日に行くと「まだ仕事なの、かんばってね」と必ず声をかけてくださる。羽田空港からモノレールで浜松町に来て、この地下街に潜ってくる客や帰る客に、江戸のよさを伝え続けてきたおばちゃんだ。大げさに構えないおもてなしがここにはある。
それにしても、来年開業となる南館には高い壁が立ちはだかっていることだろう。憎っくきコロナの影響は、ビルの運営に大きな影を落とした。オリンピックの機にした、インバウンド需要に呼応したホテル&オフィスの開業だって、去年からビッグプロジェクトが多く続いている。需要構造が根こそぎ変わっちまった社会に対して、どんな風にビル群は、そして日本は向かっていくのだろう。
な〜んて、堂々とそびえ立つビルを見ていると、なんとかなるさとついついつぶやいてしまう。砂の嵐には守られちゃいないが、コンピューターには守られている。宇宙の知恵はたくわえちゃいないが、日本人の魂と知恵はた〜っぷりとたくわえている。と、歌いながらそんなことを考えていたのだから、ネジの外れ具合を叱られそうだが、悪い予測は100人いれば100人ともできる。そんなヒマがあったら、前へと進む困難をワクワクに変える方がよっぽど楽しい。と、完成間近のビルが僕を励ましてくれたのさっ。ああ、やっぱりバカ者よのぉ。