少し以前のこと、仕事で近くまで出かけた際に足を延ばし、しばしここでぼーっと過ごした。何かと物議を醸し、マスコミは工期が間に合うのかとか何かと袋叩きにした国立競技場である。キチンと間に合った。つうか、日本人の仕事なんだから間に合わないわけねーじゃん!! だがせっかく完成した立派な競技場ながらなんとなく物悲しい。
7年前に東京オリンピックの開催が決まった時、自分でも不思議に思うほどうれしかった。理屈抜きで心が大喜びしていたっけ。タメ年ライターの濱口と、歓喜の祝杯を楽しんだのがまるで昨日のことのようだ。2020までは景気はOKだから、この間にできるだけの努力をしようと誓った。というのも、景気のリバウンドは容易に予想できたから、2020までに新しい仕事をガンガン投入して備えるべきだと自分に課したのだ。実際、前回の東京オリンピックの翌年、俺たちの生まれ年の日本は不況で多くの倒産が出たそうだ。同じどころか、もっとひどいだろうと想定しておくことが肝要だと言い聞かせながら突っ走った。が、こんな状況になるとはまさかまさかのアッと驚く為五郎である。
来年、この会場で熱戦の数々が繰り広げられることを祈るばかりだ。この日閑散としていた周辺の街は活気に満ちて、人々が笑顔で往来している。世界各国からお客様を迎えて、美しくて美味しい日本をアピールする。完璧なる「お・も・て・な・し」スピリットを楽しんでもらいたい。と、イメージしてみたものの、こうして書きながら現時点では一寸先は闇の状態でしかないのがつらい。
こうした場合には「そもそも」と切り出すインテリジェントが増殖する。はいはい、おっしゃるとおりですなあ。でも僕はそんな方々は「それを言っちゃあ、おしめえよ」で一刀両断して相手にしない(笑)。くだらないネガティブ論に付き合っている暇はないので、寅さんから伝授していただいたこの決めゼリフ一言でやっつけてしまうのだ。あとは「楽しみだなあ」とガハハで決める。おバカな僕はこれでいいのだ。