特集の始まりを告げる “扉” と呼んでいるページもまた、表紙同様インパクトがなくてはならぬ。そしてここに書き込むリードと呼んでいる短い文章もまた、気合いバッチリで臨み何度も何度も書き直して仕上げる。「えいやっ」と一気に書き上げた後に、チマチマと手を入れていくのは歌詞作りと似た方法である。そう、僕は一応シンガーソングライターでもあるのだ。所詮ジャイアンだが…。今回のリードは、右ページに大きく書かれた「母ちゃん、腹減ったよぉ!」が始まりで、左ページの「では、いただきま〜す!」で終わっているのを、このつぶやきに付き合っていただいている方々にはぜひご理解いただいたうえで読んで欲しい。
ビジュアルは当初ナポリタンをすくい上げたフォークがイメージだった。が、うまく撮影のチャンスが得られず困っていたところに、この写真を見つけることができた。瞬間的に「これだっ」となり、すっきり白地でレイアウトして完成したのである。スパゲティはもちろん、海老フライもいい。ケチャップ色のチキンライスに刺さった日の丸がいい。見事なまでのお子様ランチだが、皆さんは食ったことがあるか? 僕は記憶にない。ただひとつ、今突っ走っているやせ我慢人生の片鱗が、このお子様ランチをめぐっての記憶の中に鮮やかに埋まっている。
あの日のこと、当時としては超ビッグイベントの外食の時だ。しばし眺めたサンプルケースから、弟はお子様ランチに決めたようで、入店するとすぐにそれをオーダーした。僕もすげ〜気になっていた。食ってみたい。が、おそらくこの時は小1だったと記憶しているのだが、僕はもうすでにお子様ではないと自分自身に意地を張った。やがて料理が運ばれてくると、この写真のようなラインナップにプリンまでついてやがった。それらに次々とフォークを突き立てる弟の羨ましいこと。やせ我慢を貫いた僕はミートソーススパゲッティだ。もちろんうまい。だが、敵はゴージャスにいろんなものを食っているのだから、気持ちは完全に敗北だった。この時誓った。大人になったらお子様ランチを腹一杯食ってやると。この誓いは今も達成できずに、胸の中にそっとしまってあるのさ。ああ、なんて悲しいやせ我慢だろう。まるでフミヤが歌った、バカだね男って(I Love you,SAYONARA)なストーリーじゃないか。
きっと皆さんにもお子様ランチをめぐる想い出があるはずだ。それを見つけに、最新号を手に入れてくれっ。なう、おん、セールッ!!