大貫憲章さん登場 〜大編集後記。

この名前を知ったのは忘れもしない、1979年の1月6日だ。なぜこうも鮮明に覚えているかといえば、洋楽にハマり初めてLPを買った日が忘れられないからだ。

 

前日の1月5日に、僕は東京の下町・三ノ輪駅そばにあるレコードと楽器の店「三井屋楽器店」で生まれて初めての洋楽アルバム、クイーンの『ジャズ』を買った。興奮しながら針を落としたその瞬間に強すぎる衝撃を受け、それまで以上に彼らにハマった。少ない情報を懸命に収拾して『オペラ座の夜』と『ジャズ』のどちらかで悩んだのだが、その時点の最新アルバムをセレクトした僕だ。

 

この翌日に、神は奇跡を起こした。新年3日に会ったばかりなのに、大好きな埼玉の叔父がフラリと遊びに来て、サンシャイン60に行きたいと一緒に出かけたのだ。サンシャインシティに「三井屋楽器店」よりずっとでかいレコード店を見つけて、僕は少々の時間をもらってジャケットを眺めた。あの頃は、雑誌『ミュージック・ライフ』で見たジャケットの本物を眺めるだけでもウキウキした。あまりにも熱心に眺めていたからだろうか、それとも叔父はとっととそこから離れたかったのかわからんが、1枚買ってやると言ってくれた。迷わず『オペラ座の夜』を購入したのだ。こうして2日連続で僕はクイーンのアルバムをゲットできた。

 

その『オペラ座の夜』のライナーノーツを書いたのが、大貫さんだったのだ。レコード会社からのデモテープを聴いているとの臨場感がある文章にうっとりしながら、かっこいい名前とともに記憶に強く刻まれた。『ミュージック・ライフ』の編集長の東郷かおる子さんとともに、すっかりファンになった。僕の編集長復帰第1作 (vol.50) で「昭和洋楽」特集を組んだ際にはこのお二人に登場していただけて、しかもそのページが並びなのだから、ガキの頃の僕が知ったら腰を抜かす快挙だ。

 

最新号 (vol.61) で再登場してくださった。東京カルチャーを語る上で欠かせない、「ロンドンナイト」を主催した男としてだ。今回の特集で最もとんがったページで、ナウでヤングじゃなかった僕は正直に白状すると全く触れていなかったカルチャーだ。が、『昭和40年男』を愛する方々には突き刺さるはずだ。えっ、僕と一緒だって? だったら僕同様、当時の最先端を今更ながら学びましょ。てな訳で、ぜひ手に入れて頂戴!!
 

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