明日から『昭和40年男』の61回目の勝負が始まる。会社にはたくさんの最新号が積まれ、発売と同時にこれは売れると判断した書店さんからの注文を待っている。このプロの目利きは売れ行きのひとつのバロメーターで、表紙と目次で瞬間的に判断なさるのだと思われる。今回の表紙は、あまりインパクトの強くない方の部類だろう。どちらかといえば「いい表紙だね」との評価を受けそうだ。前号のど根性特集時の表紙はかなりバカバカしいが、インパクトがそのまま注文につながるわけでないのもあたり前田のクラッカーだ。去年の同時期には、俺たちのお母さん特集を組み、ウルトラの母を起用した。おそらく『昭和40年男』の歴史の中で最もぶっ飛んでいたと思うが、あまり注文は舞い込まなかった(笑)。
実は、今日のつぶやきのタイトルが最新号の本来のものだ。オリンピック直前で、東京がキラッキラの今日のはずだった。そこにあえて「さらば」で打ち込むことこそ『昭和40年男』のひねくれポイントだと突き進んだ。企画主旨はネガティブでなく、2020で変わりゆく東京に愛を込めて、俺たちが慣れ親しんだ風景やカルチャーをこれでもかっと並べる構成だ。タイトルは変わったが中身は変えていない。浮かれまくった東京、そして日本が沸きに沸いているところに、しかも明るい季節の5月に、刺激的すぎて最高だと考え抜いてのタイトルだった。雑誌屋とは、刻々と変化する社会に対してどんな言葉を打ち込むのかを考え抜く生き物だ。その中でもタイトルは極めて重要だ。
が、状況は激変してしまった。今の世の中に「さらば」はまったくいいコピーに響かない。キラッキラへのカウンターには最高だったが、今となっては虚しく響いてしまう。という流れに中にあり、僕が選択したのは「愛」だったというわけだ。
今回の特集は、手前味噌ながら素晴らしい出来栄えだ。もしも僕が書店でこの雑誌を見つけたら、うれしくなるだろう。実際、雑誌ジャンキーの僕は1年で何冊もの、うれしい仕上がりの他社さんの雑誌に歓喜しながらレジへと運ぶ。書店は僕の大好きな場所なのだ。
特集の構成は、消えた東京と消えゆく東京の2セクションに分け、プロローグとエピローグで包み込んだ。特に消えたセクション冒頭3発の怒涛の攻めに、きっとあなたは耐えられない(笑)。ローリング・ストーンズのライブでたとえれば、『サティスファクション』と『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』と『ブラウン・シュガー』をオープニングから3曲並べたような構成だ。何度開いても、雑誌ジャンキーの僕をニヤリとさせてくれる仕上がりだぞ。
先週は、新宿の紀伊國屋さんが営業を再開したとの、僕にとってはものすごく明るいニュースが届いた。そう、新宿のど真ん中でこの特集号はバンバン売って頂きたい。追加のご注文をお待ちしてますよ、紀伊國屋さんっ!!
最新号届きました!
確かに消えたセクション冒頭3発の怒涛の攻めは、ジュリーのライヴに例えると…『勝手にしやがれ』『TOKIO』『あなたに今夜はワインをふりかけ』をオープニングから3曲並べたような構成でしたなぁ〜(笑)