微妙にGWに入っているようないないような4月27日月曜日。通常通り出社する人もあれば、在宅勤務を続けている人もいたり、すでにGWモードで普通にお休みしている人もいるような感じで、なんだか世の中にはふわふわとしたなんとも言えない不安定感が漂っています。今年は旅行や帰省など、遠方へ出かけることは極力控えるように心がけましょうと言われていますが、そんな状況でも介護のための帰省とか、実家で親が一人暮らししていて心配だという人もいるでしょう。長い休みが取れる時期には、せめて故郷に帰りたいという気持ちはとてもよくわかります。私自身も、昨年は帰省できなかったので、かれこれ2年ほど母の顔を見ていないことになります。これといって変わった様子もなく、元気に暮らしているのだろうと特に心配はしていませんでしたが、それでも、今年はなんとか帰りたいと、5月GW明けに2泊の予定を組んで、2月初旬には飛行機のチケットを予約。その時点では、まだこれほどまでに外出が自粛されるようになるとはさすがに想定できる状態ではありませんでしたから、2年ぶりの帰省を楽しみにしていました。
帰省はあきらめたのですが…
ところが、3月になり全国でコロナウイルスの感染が拡大し、感染者ゼロだった故郷の青森県でもついに感染者が出てしまいました(スペインツアー旅行に参加して帰国した人たち)。いよいよ大変な事態だと不安になった母から、とにかく今は飛行機に乗るのも感染リスクがあるから、5月の帰省は止めた方がいいという電話がかかってきたのです。確かに、あと1ヶ月やそこらで完全に収束するとは到底思えませんでしたから、そこは親の言うことを聞くべきだと、中止を検討。しかし、かなり安く買えたツアーチケットなので、諦めが悪いと思いつつ、キャンセル料発生のぎりぎりまで待ってみようとしばらくキャンセルせずにそのままにしていました。4月に入り、いよいよ可能な限り在宅ワーク…という事態となり、私も数日ほど在宅で作業をしていたのですが、その間に「事件」は起きたのです。
ついに恐れていた認知症か?
4月某日、実家の弟(母とは同じ敷地内に別々の家に住んでいます)から、夜遅く何度も電話、LINEがきていて、私が気づかなかったため、ついには連れ合いの携帯に電話がかかってきたのです。今思えば、家電にかけりゃいいのにとも思ったのですが、そのくらい動揺していたのでしょう。話の内容は、かいつまんで言うと「母が認知症ではないか」ということでした。その日まで弟も全く気づいておらず、ほんの数時間ほど前に妙な言動に気づいたとのこと。「あまりに突然のことで受け入れられない」とそのショックがかなり大きいものであることが伝わってきました。もちろん、私自身もショックでした。「100歳まで生きる!」と豪語していたあの母が? 今年80歳になるとはいえ、心の準備もできていない私は、青天の霹靂とはまさにこういうことなのかと、頭が真っ白になってしまいました。
ことの発端は、東京は買い物にも出られないのかと案じた母が、宅配便で私宛に何やらいろいろと送ろうと、その荷物を弟に近くの配送センターまで持って行ってもらったことに始まります。弟が、「配送センターまで届けてきたよ」と言っても、そんなものは頼んでいないと言うらしいのです。しかし、その前後に私宛に2度に渡って「荷物を送りたいんだけど、明日出すから到着は明後日」しばらくして、「○○(弟)に頼んだから、明日届く」との電話があったので、それを全く覚えていないというのは私もにわかには信じがたかったのですが…。そんなことなので、とにかく5月にはなんとしても帰省してほしいといつになく必死な弟…。荷物のこと以外にもその日の自分の行動を覚えていない様子だというので、これはやはり認知症かもしれないから5月には帰るけど、その前にとにかく一日も早くしかるべき病院で検査を受けたほうがいいということになり、すぐ病院を探し、3日後に診察してもらうことに。頑固なところもあるので、病院行きは拒否すると思われた母ですが、こちらが拍子抜けするほど素直に診察を受けることを快諾。いざ検査の結果は…
脳の萎縮はみられません
祈るような思いで、すぐさま電話で検査結果を聞きました。MRI検査の結果、脳に委縮はなく、既に治っている小さい脳梗塞の痕があったそうですが、それも特に何か悪い影響を及ぼすものではありませんとのこと。対面での認知症テストは30点満点の28点で、これも問題なし。何がマイナス2点だったかもしっかりと自覚していて、満点でなかったことが若干悔しいのかと思うほどのしっかり具合でした(テストの内容を聞きましたが、私は28点取れる自身がないです)。では一体、あのピンポイントの記憶喪失状態はなんだったのでしょう? その正体は「一過性全健忘」という症状で、ほとんどの場合数時間程度の発作(記憶がなくなったり記憶できなくなる状態)で、長くても24時間ほどで治まりその後の再発率も低く、他に脳障害を引き起こす恐れもないため、治療の必要もないといういまだ謎の多い病気のようです。母いわく、テレビで新型コロナウイルス関連のニュースばかり観ていたことと、休校中の孫たちの世話でストレスがたまったせいでは…と。発作が治まっても、発作中の記憶は失われたままだということですが、1日程度のことならそのこと自体に特に問題はないようです。とにかく、先々の介護のことまで考え、早々に実家に戻らなくてはならないかもと、この3日間は半ばパニック状態に近い感じでいろんなことを考えていました。何事もなくよかったというか、その後いろいろ調べてみて、笑い話になったことがありまして、この一過性全健忘というのは発症率が高いのが60代と50代、次いで70代、80代ということらしいのです。ということは母の脳は60代、50代に近いってことでもあるんですかね?(笑)。当の本人は特に不安がる様子もなかったのに、周りが大パニック!でしたが、まずは一件落着です。
しかし、この件で弟も私も大いに反省。今までは勝手に母のことは「大丈夫だろう」と思っていましたが、これを機に母の見守りをきちんとしていかなくてはという気持ちをあらためてもつことができました。そして、母自身も検査して異常がなかったことで、安心して暮らせると喜び、これからはより健康に気をつけるようにするとあらためて思ういい機会にもなりました。そんなこんなで結局「5月は帰って来なくても大丈夫」という、いまだかつてない「帰省しなくていい喜び」を感じています。そんなこともあったので、今年の母の日には、アロマデュフューザーを贈る予定です。以前このコラムでも書きましたが、認知症の改善にも効果が認められているというアロマですから、今から取り入れることできっと予防になるに違いありません。GW、実家に帰省できない方もたくさんいると思いますが、電話をして様子を確認したり、たまには手紙を書いてみたり、こんな時だからこそ、離れて住む家族とのコミュニケーションをしっかりととってみてくださいね! そして、知らず知らずのうちにたまっている見えないストレスに健康をおびやかされないように、気をつけてGWを過ごしましょう!
初めまして。
私は経験者です。この件については体験者からの発信は少ないですね。後遺症はありますよ。気分が優れず半年ほど顔の皮膚と空気の間にオブラートのような幕を感じました。不安感は残り理由もなく怒りと後悔に苛まれました。10年後の今も嫌な性格は残っています。大人の思考は可能ですがむき出しの幼児性を抑えるのに苦労しています。事務的な能力、記憶力は変わりませんが自身を包む奥ゆかしさがとても難しい。後遺症はありますよ、幼児性が亢進するのか元に戻っているのかそんな感じです。怒りと親和性が高いです。お母さまも説明しかねる後遺症に悩まれると思います。Drに後遺症はありませんと断言されて患者は口を閉じます、おそらく。