なぜラーメンだけで終わらせられないのだろう。それは、そういう量に設定している罪作りな料理だからだ。大好きなそばなんかもっとそうだ。たぬきそば一杯で終わらせるのは、ほぼ不可能だと言っていいだろう。それでも夏を目前にしたこの季節は、万年ダイエッターのダメダメな僕ながら燃えている。ましてやこの夏には55歳を迎えるし、暖簾をくぐる時は単品注文に決めていた。
そもそもダメダメなのは、この日は昼飯を抜いて牛乳で済ませようとコンビニに向かおうとしていた。が、いつも混んでいる会社近くの昭和なラーメン店がガラガラなのだ。普段は劣悪なる我が社周辺のランチ事情も、さすがにこのご時世によって様変わりしている。昼時をずいぶんと過ぎて帰社した時に一度しか入ったことのない店が、12時すぎにガラガラというのはなんだか得した気分になってしまい、つい誘われてしまったのだ。
ここは普通のラーメンがいい。それ一杯のつもりで入った。が、念のためメニューを見る。そりゃあそうだ、会社がこの街に移転した2007年からこれまで一度しか入ったことがないのだから。そして僕は巨悪な敵を見つけてしまう。セットのチャーハンは170円!! コンビニのおにぎりにちょっとオンしたプライスじゃないか。決してそうでないのは頭ではわかっているのだが、前述と同様になんだか得した気分になってくる。結局、僕の目の前に届けられたのはラーメンのどんぶりでなく、写真のお盆だった。
なんちゅう意志の弱さだろうか。だがうまかった。そんな満足感とともに、心を襲う罪悪感だ。目標体重を達成するまで、どんなに得した気分になってもここの暖簾はくぐらないと誓う。いや、本来だったらここは繁盛店でくぐれないのだ。こんな些細なことからも、やはり早く日常を取り戻したいと願う。