最近メディアなどでも取り上げられていて、耳にすることが多い「フレイル」。簡単に説明すると、フレイルというのは「健康」と「要介護状態」の中間を指すもので、「虚弱状態」のことです。歳をとれば自然と老化は進むものですが、その進行具合はひとそれぞれです。人生100年と言われる現代においては、90歳を過ぎてもピンピンしている人もたくさんいます。そして、誰もが自分もそうありたいと思っていることでしょう。ある日突然、要介護状態になってしまうということは普通ではあまり考えにくいことです。健康な状態からフレイル状態を経て、悪化を止められず要介護状態になる…これが一般的にたどる介護への経過です。
今の日本では65歳以上を高齢者と位置づけていますが、今年55歳になる昭和40年男にとっては10年後のこと。遠い未来ですか?そんなに遠い先のことではないように思います。なぜ、今この65歳という年齢に言及したかといいますと、この年齢を境に健康状態が変化する人が多く、65歳の時点でフレイルの状態になっている人とそうではない人とでは、後期高齢者となる75歳以上(2020年現在)になってから健康に過ごせるかどうかが大きく変わってくると言われているからです。
フレイルが始まるとこんな兆候が
・楽しんでやれていたことが楽しめなくなる
・歩行が遅くなる
・握力が弱くなる
・疲れやすくなる
・人との交流が減る
・体重が減少してくる
上記のなかで一つでも当てはまれば、注意が必要です。50代になると、筋力は確実に衰え始めると言われています。筋力の衰えが老化を加速させることの元凶になっていることは今や常識と言っても過言ではありません。疲れやすくなるのも、出かけるがおっくうになるのもすべては筋力の衰えによるものであることは明らかです。特に最近は、外出自粛で普段よりも自然と運動量が減ってしまうので、自宅でできる運動なども取り入れて筋力を落とさないように気をつけたいものです。
昭和40年男世代は、イラストの中に描かれている「プレフレイル」に注意しなければならない世代です。私も最近は、ちょっと階段を駆け上がると軽く息切れのような状態になることもあるので、まさにこのプレフレイルだということを自覚しています。放っておけばどうなるかは明らかですから、皆さんも「若い頃とは違う」変化を感じているなら、10年先、20年先のことを考えて今からフレイルにならないように気をつけましょう。
予防と回復の3つのカギ
具体的には次の3つと「持病」の管理が大切だと言われています。
・栄養…野菜、大豆製品、魚、肉、良質の油脂などいろいろ食べてしっかりと栄養を取る。筋肉を作るために魚、肉などのたんぱく質が重要になります。
・運動…ウォーキングなどの有酸素運動や階段の上り下り、イスなどを使った無理のないスクワット、かかとの上げ下げなど日常生活のなかでも気軽にできる運動を意識する。
・交流…仕事での交流以外にも、地域活動などでコミュニケーションを深めるなど、人とのコミュニケーションを作る。(※新型コロナウイルスによる自粛期間中は直接的な接触はなるべく避けてください)
そして、高血圧などの持病がある方は、主治医からのアドバイスをしっかり守って、進行を防ぐように心がけましょう!
誰もが健康で長生きするために
ケガによる外傷などを除いては、ある日突然歩けなくなってしまうことはあまり考えにくいものです。少しずつ筋力が衰え、運動量が減り、さらに筋力が衰える…知らず知らずのうちにできていたことができなくなっていく…というのは今はまだ想像できないかもしれませんが、誰にも起こり得ることでもあります。先日、80歳になる実家の母が一過性全健忘になって大騒ぎ!という話をしましたが、我々の親世代にとっては介護問題は今まさに直面していることですから、自分の身体は大丈夫と思う方も、ぜひこの「フレイル」を見逃さないで、家族の身体もそして自分自身の身体の状態もきちんと見守っていきましょう。健康寿命を延ばす大きなカギはフレイルを予防することにあるようです。
このフレイルについては公益社団法人東京都医師会のHPでも紹介されていますので、もっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧下さい!