ひどいセリフを浴びせられたことがある。
「やめましょうよ、そんな本は」
こちらは当たると思って企画して、
支持されることに恥じないできにしようとするから
情熱を込めてがんばるのである。
それを一生懸命に説明をしても
「類似誌がこうですから」
とか、
「前例がないから」
とか、お叱りを受けるのである。
こう書いていくと
すごく嫌な人たちのように受け止められるだろうから
フォローしておくと、これは彼らの仕事なのである。
何万点もある発行物を全国にばらまいて、
売れなければ返品を回収しなければならない。
雑誌は委託販売なので
そのまま彼らの死活問題へとつながっていく。
それと、彼らの言うことは
やはりプロとして的確なのである。
今どういった本が支持されているのか?
書店に来る顧客はどんな人なのか?
我々編集者が張らなければならないアンテナを
フル装備しているのだ。
もし俺があの立場だったら
書店にも通っていない編集者がグダグダ言ったところで、
ちゃんと勉強して出直して来いと言うだろう。
これは日頃、編集者たちと話をしていて感じることでもある。
雑誌を欲しいと思って自分で買っているヤツが少なすぎるから。
この本がなぜ自分に必要なのかと
悩んで書店の棚を眺めていないヤツに、
支持される本がつくれるはずがないと思う。
ましてやお仕事のために雑誌を買っているヤツらは、
読者の気持ちなんかわからないはずだもの。
と、偉そうに書いている俺が
取次ではいつも完敗するのである。