「β-カロテン」と聞くと、健康に気を遣う人ならば「ニンジンやカボチャなどに含まれる抗酸化作用のあるやつね」という答えが返ってくるぐらいのメジャーな存在となっていると思います。このβ-カロテンは、人の体内で必要量に応じてビタミンAとなり、働いてくれるというのですが、具体的には下記のような効果をもたらしてくれると言われています。
●夜盲症の予防・改善効果
夜、急にものが見えづらくなるという人は、ビタミンAの不足が原因かもしれません。
●粘膜を健康に保つ効果
口内炎ができやすい人、歯茎が腫れているなど口内トラブルがある人もビタミンAの不足が影響しているかもしれません。
●ガンを予防および抑制する効果
強い抗酸化作用は、がんのきっかけとなる遺伝子の損傷を防止する効果があり、予防や抑制の効果が期待できるそうです。
実はこのβ-カロテンは黄色や赤色の野菜(緑黄色野菜)以外の食材にも豊富に含まれていることをご存じですか?
えっ!この色でβ-カロテン?
たとえばこれ。誰もがご存じの海苔は海藻です。β-カロテンが多いと言われるニンジンやカボチャ、最近ブームのパプリカなどの色鮮やかな野菜とは似ても似つかず、色は緑というよりは黒に近い感じです。ところがその海苔にも意外や意外、β-カロテンが豊富に含まれているのです。海苔は、調理しなくてもそのまま食べられますし、ご飯に巻いておにぎり、手巻きずし、お餅に巻いて磯部焼、お弁当にすればのり弁と日本人には子供の頃から何かと馴染みのある食材です。しかし、大人になるにつれて、そういったものを食べる機会はぐっと少なくなり、ざる蕎麦などの上にのっているのをたまに食べる程度でしょうか。意識して「海苔を食べる」ことはあまりないという人がほとんどでしょう。
海苔はβ-カロテン以外にも、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、カルシウム、EPA、タウリンなどが含まれています。スーパーフードと呼ばれる数々の食材がありますが、海苔は、納豆・みそなどの発酵食品、玄米や緑茶などと並ぶ、世界に誇るジャパニーズスーパーフードのひとつなんです。
ちなみに乾物では、味付け海苔100gあたりの含有量32,000μgが、抹茶の29,000μgを抑えてトップの含有量を誇っています(焼き海苔は27,000μgで3位)。ただし、海苔を100gも食べるということはあまり現実的ではありませんから、実際一日に摂取できる量として、焼きのり1枚が3gほどと考えると、3枚食べれば小松菜80g相当のβ-カロテンに匹敵します…って、あれ?ちょっとビミョーですかね(^-^; とにかく、意外とβカロテンが多いということがわかった海苔をどうやっていただくか?どうしても「おにぎり」「巻きずし」「磯部巻」と、炭水化物との組み合わせが王道のイメージになってしまいますから、なるべくそれ以外の食材との組み合わせを考えてみましょう。
ここはひとつ工夫して、ご飯やお餅以外でもどんどん巻いて食べちゃうのはいかがでしょうか。我が家では、連れ合いが作ってくれるお弁当のおかずに「まんだいの煮つけ海苔巻き」というのがあります。まんだいという身のしっかりしたお魚があって、煮つけにした後に海苔で巻くと、いい具合にお弁当のおかずになるんです!煮汁の水分で、海苔もしっとりやわらかく食べやすくなるので、二重に巻くのがポイント。食べ応えがあって、栄養価もアップしますので他の食材との組み合わせでも応用できるのではないかと思います。
β-カロテンやその他の栄養も豊富で、とても身近食材なのに、ふと考えてみるとあまり食べる機会が少ない「海苔」。保存がきく食材なので常備しておいて、日頃の食事に上手に取り入れていきたいものです。