初荷!!

昨日、今週土曜日発売の最新号が会社に届けられた。「初荷だ初荷だ〜っ」とハッピ姿の担当者が持ってきてもいいものだが、無味無臭にいつも通り淡々と届けられたのが残念だ。先日、正月飾りの衰退をぼやいたが、初荷もほとんど見かけない昭和遺産になりつつある気がする。もっとも、当時でもまったく縁のない方の方が多いかもしれないですな。

 

東京荒川区、下町の小さな電気屋が賑々しくなるのが、メーカーの営業始めを祝う初荷だった。うちは松下とシャープの2社を扱う店で、双方ともに担当者と親父の付き合いは親密になる。僕らガキの面倒も見てくれる優しいお兄さんだ。これが初荷になるとちょっとかっこいい。

 

他の営業の方とお偉いさんが、ドバーッと10人以上で店にやってくる。そしてトラックに積まれた商品を勝手にガンガン置いていくのだ。初荷と大書された赤い札が貼ってあって、普段の担当とのやりとりはそこにない。初荷ならではといえばいいのか、交渉もへったくれもなく納品する。電気屋は基本買い取り仕入れだからそんなことはあってはならないはずだが、眼中ねえぜのごとくの若い衆たちを親父もお袋もニコニコと見守っている。おそらく、これらの返品はできるはずだと思われるが、そんな無粋なことはガキの僕でさえ聞かなかった。

 

荷物を置き終えれば乾杯だ。ゆるい時代で、トラックを運転する方も振る舞った酒をガンガン飲む。店に来た時に出来上がっている方がいたりするのは、まるで祭りですな。そしてこの儀式の締めは、店の前で盛大に行う三本締めだ。これを仕切るのが担当者で、実にカッコいい。メーカー名が入ったハッピ姿の男衆と、我が家の4人で作った円の中心で「北村テレビ商会の商売繁盛とますますのご発展、ご家族のご健康を祈念しまして御手を拝借、よ〜おっ」とご近所に響き渡るようにやるのだ。恥ずかしいのだが、正月の行事として誇らしくもあった。

 

と、そんなことを印刷会社さんもやってくれればいいのにな。なんてこの束を見ながら思った次第だ。さあ、今年もみなさんとの勝負が始まる。勝ち戦を繰り返すぞー!!

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