本誌「昭和40年の男」で、毎回昭和40年に活躍した「男」にスポットを当てる連載「昭和40年の男」でお馴染みの、泉 麻人さんの最新刊『1964 前の東京オリンピックのころを回想してみた。』が12月2日に発売されました。
1964年(昭和39年)は言うまでもなく、昭和40年男がこの世に生まれる前で、自分たちのなかではまさに「歴史」の頃ですね。その頃の東京はまだ地上36階建ての霞が関ビル(昭和40年起工、43年にオープン)もなく、この表紙の写真を見てもわかるように、東京タワーが異彩を放っていました。
本書はその前年の1963年、泉少年が小学校1年生の、大晦日の記憶をたどるところから始まります。新聞のテレビ番組表に登場するその番組名、リアルな記憶はないけれど、後に耳にする懐かしいテレビ番組名のなかに「快傑ハリマオ」といういわゆる冒険活劇のタイトル名が出てくるのですが、この主人公について、編集部まつざきにとってひとつの刻み込まれていた記憶がよみがえってきました。子供の頃(私は昭和37年、青森市生まれです)、「快傑ハリマオの主役の人は長内(おさない)さんの家の人なんだよ」と聞かされたことを思い出したのです。長内さんというのは、うちの実家の町内にあるお宅。特に近い年齢の子供はいなかったと思うので、深いつきあいもなく、私としては「あ~あそこの家の人なんだ」というくらいの感覚でしたが、子供心に不思議に思ったのは、当時、なんでこんな青森の田舎からテレビの主役になるような人が出たんだろう?ということでした。東京に住んでいる人には、ピンとこない疑問かもしれませんが、当時は、地方出身者が俳優や歌手になるというのは今よりもはるかにハードルの高い時代だったと思うのです。まぁ、ハリマオも観たことがない私にとって(まして本人に会ったという記憶もありませんし)「そうなんだ…」くらいの感じでしたが、Wikiで見てみたら、勝木敏之、本名・長内章蔵、確かに青森市出身。あの頃、国民的人気番組のスターだった人がうちの町内の人だったのかと思うと今さらながらなんとも言えない感慨深いものが…。
とまぁ、かなりローカルな話になってしまいましたが、その63年の大晦日から64年のお正月となり、いよいよ「東京オリンピック」の年について、小学2年生視点の日常が回想されているのはとても楽しく、私にとっての「ハリマオ」のように、この本に登場する出来事や、世相、文化、モノetc…の中には、きっとあなたの心の奥に眠っていた淡い記憶とつながるものもあるのではないでしょうか。
戦後の日本にとってエポックな年、1964年。本書の帯に書かれた、「思い出す1コマ、1コマの光景」という言葉にあるように、1964年の様々なシーンが描かれた『1964 前の東京オリンピックのころを回想してみた。』をぜひ手にとってご覧下さい!
『1964 前の東京オリンピックのころを回想してみた。』
泉 麻人・著/三賢社刊
価格:1,500円(+税)
また、この本の発売を記念して、東京・新宿区の芳林堂高田馬場店において泉 麻人さんのトーク&サイン会が開催されますので、お近くの方はぜひお出かけ下さい!
日時:2019年12月13日(金)開演 19:00(開場 18:45)
場所:芳林堂書店高田馬場店8階イベントスペース
詳細は芳林堂書店HPをご確認下さい。