本日、発売じゃ。手にしていただけただろうか。16ページ増がずしりと重いからぜひ感じてほしい…ってほどじゃないかな。でも編集部にとっては作業がずっしりと重かった。巻頭特集でボリュームを出したのだから当然である。そんな愛すべき最新号がリリースされたのだから、僕のつぶやきは当然ながら大編集後記となる。
俺たちはアメリカ的なことがカッコいいと、幼少の頃より思っていた。昨日ご紹介した扉ページにも書いたが、MADE IN JAPANは今では信じられないほど価値が低かった。
そんな中で音楽も日本は遅れていると感じていた中坊時代だ。今考えればジャパンサウンドにも素晴らしいものがこれでもかとあるのがわかるが、当時はアメリカにかぶれた。イギリスの音楽も同様にかぶれて、キャッチアップなんて未来永劫絶対に無理だと思っていた。が、日本人てのはすげー。キラキラしたウエストコーストサウンドを日本語で作っちまったのだから。その先端の1人が杏里さんだ。
僕らが体験したファースト杏里さんは、きっと『思いきりアメリカン〜』でなかろうか。17歳の僕にも当然ながら響き渡り、耳には強烈に残ったのだが特に興味を持つには至らず、その後も付かず離れずだった。居酒屋で働く兄ちゃんだったから、有線放送の歌謡曲チャンネルから多くの曲は知っているという存在だった。そんな環境下でやがて僕をノックアウトしたのが『最後のサーフホリデー』だ。
演奏やアレンジがアメリカに並んだと感じた。いや、以前からもすごいことになっていたのに、この曲は要するに僕のツボにはまったのだろう。収録されたアルバムには名曲『サマーキャンドル』も入っているからと、レンタルCDでテープに落とした。が、やはりあまり聞かないままだった。洗練された世界観と僕のドロドロとした感性が噛み合わなかったのだ。音楽だけでない。ナウでヤングな自分を夢見ながら、アメリカン〜な自分になれない東京の田舎者だった。なんとか取り入れられたのは、ルーズなブルースばかりだ。てな訳で、今回の特集は自分自身の人生へのリベンジなんだと言えるかもしれない。10周年記念号にはそんな怨念が詰まっているぞ!?。