総合司会にタモリが大抜擢! 昭和58年・第34回『NHK紅白歌合戦』と共に当時のヒット曲や世相を振り返る!

国民的歌番組『NHK紅白歌合戦』(以下、紅白) は、今年 令和元年の大晦日で70回目という節目を迎えます。近年ではかつてのような視聴率を獲得できず、人気が低迷していると言われていますが、昭和40年男世代の幼少期~青年期は、ほとんどの国民がテレビにくぎづけになったほど! そんな紅白の出場リストから、その年のヒット曲や話題の歌手などを振り返ってみましょう。第13回は、デートの聖地・東京ディズニーランドが開園した年、「昭和58年・第34回大会」です。
 

 
野口五郎復活で、新御三家そろい踏み!

白組は、前年惜しくも紅白出場を逃した野口五郎が、この年1月発売の「19:00の街」が3年半ぶりの週間チャート20位以内に入るヒットで、見事な返り咲きを果たしました。その復帰を祝うかのような、トップバッター・西城秀樹、2番手・野口五郎、3番手・郷ひろみという新御三家の3連続構成で一気に勝利をつかみにいきました。一方の紅組は、20代ながらも、その歌唱力ですでにベテランと言ってもいい、岩崎宏美をトップバッターに、’80年デビュー組の柏原芳恵 (初出場) 、河合奈保子 (3回目) を2番手、3番手に据えて負けじと対抗です!
 

「く~も~り~ガラスを♪」苦節14年! 大川栄策 初出場

「く~も~りガラスの♪」は、一昨年の ’81年初出場、寺尾 聰の「ルビーの指環」ですが、こちらの「く~も~り~ガラスを♪」は、’82年 8月に発売された、大川栄策の「さざんかの宿」。20歳でデビューした苦労人が、33枚目のシングルで悲願の初出場を果たしました。紅白初出場時、寺尾は34歳で、大川は35歳とその年齢も近かったり、歌いだしの歌詞が同じだったりと、当時は気に留めることもありませんでしたが、こうしてあらためて振り返ってみると、このカブリ感はなんなんだろうという感じですね (笑) 。そして、白組初出場では、異色歌手・梅沢富美男の「夢芝居」、実力派グループ THE ALFEE の「メリーアン」にも注目が。また、かつての苦労人の活躍という点では、なんといっても2年連続日本レコード大賞受賞の細川たかしを忘れることはできません。’75年のメジャーデビュー曲こそヒットした細川ですが、アマチュア時代の下積みを経験を考えると実は苦労人。この年は日本レコード大賞受賞曲「矢切の渡し」で、見事に紅白の大トリを務めました。
 

そして「花の82年組」も登場です!

昨年こぞってデビューし、大人気となった女性アイドルのなかから、早見 優が「夏色のナンシー」、中森明菜が「禁区」で初出場。好対照のイメージである二人が、花の’82年組女子の人気をまずはけん引するという形になり、翌年以降も大活躍することとなります。そして、この年の紅白には間に合いませんでしたが、翌年大ブレイクするチェッカーズがデビューし、新御三家とも違う、ジャニーズとも違う、新たなジャンルのアイドルバンドの登場で、邦楽界はさらに多様化し、活気づいていくことになります。化粧品CMのタイアップではラッツ&スター「め組のひと」や、YMO「君に、胸キュン。」が話題になり、いわゆるメディアミックスの手法が成功をおさめた、角川映画『時をかける少女』で初主演の原田知世が歌った同名の主題歌はユーミンの作詞作曲で大ヒット。同じく薬師丸ひろ子が歌った「探偵物語」は 作詞・松本 隆、作曲・大瀧詠一のコンビによる曲で、7週間チャート1位という大ヒットに。ヒット曲誕生の場やヒットメーカーたちにも、さらなる広がりを見せました。

昨年70%を切った視聴率をすぐさま回復した紅白ですが、実は冒頭で触れた「新御三家そろい踏み」はこの年が最後だったのです。五郎ちゃんはこの年以降、紅白には出場していません…。今年も新曲を発表し、来年はデビュー50周年ということで、エネルギッシュな活動をされていますので、もちろん再復活もあり得ます! しかし、残念ながら、昨年亡くなった秀樹さんの出場は永遠に叶うことはなくなってしまったのですから。

東京ディズニーランドが開園した ’83年は、カセットを交換すればさまざまなゲームが楽しめる、「ファミリーコンピュータ」が任天堂から発売されて本格的なテレビゲーム時代が到来し、歌やテレビ番組以外の娯楽がぐっと増えていった年でしたね!
 
 
※当時のレコードジャケットなどは、
  『昭和40年男』6月号増刊『俺たちの胸に刺さった 昭和ソング』
 p.030~031に掲載されていますので、あわせてご覧ください。
 
(『昭和40年男』編集部・まつざき)
 

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