【悲惨な戦い】「子ども会」という名の悪魔の集会!

昭和40年男の悲惨な戦い

昭和40年男の少年時代は、決して楽しいことばかりじゃなかった。今思えば笑っちゃうようなことでも、俺たちは真剣に悩み、戦っていた! ここではホロリと苦い“悲惨な戦いの記憶”を通じて、昭和40&50年代という時代を振り返ってみたい。

地獄のフォークダンスで大魔神夫人怒る!

2019年になっちまった。平成ももう終わりだなー。この年末年始も飲み会ほかイベント続きで、さすがに疲れたなー。
……そういえばガキの頃、呼ばれてうれしくないイベントってあったよね。年末年始っていうとアレ、子ども会のクリスマス会とか新年会。今思えばなんだったのか「子ども会」って。

「子ども会」はウザかった。地域の子どもを学年問わずワーッと集め、イベントで親睦を深めましょーってことだったんだろうけど。貴重な休みの日にイベントだっつって駆り出されて、正直面倒くさかった。これがまた四季折々、よくもいろいろ…ってぐらいイベントがあってさ。
クリスマス会に新年会、夏休みのキャンプファイヤー。最高に意味わかんなかったのが「お泊まり会」。夜の学校の体育館にワーッと布団敷いて、おもしろくもないゲームとかさせられて、ただ寝るだけ。とにかく「子ども会」のイベントはおもしろくなかった。それは企画するスタッフの大半が、近所の母親たちだったからじゃないかな!

「はーい、みんなでフォークダンスをしましょう!」

なんで近所のバ……いや母親たちと踊らなきゃいかんのか。「ジェンカのステップはね、いったん足を引っ込めて、また出して」「あら、フォークダンス踊ったことないの?」うるせー! オメーとダンス踊らされてテンション上がんねーからステップ踏む気にならねーんだよ!

そしてイベントで出るメシは母親たち手作りのオニギリかカレー。とにかくオニギリがイヤだった。なんか微妙にさ、母親たちの手の味がしてウゲッって感じ! たまにハンドクリームの味がして、吐きそうになったこともある。カレーも予算の都合なのか、肉が全然入っていなくて。なんだこのジャガイモとニンジンしか入っていない貧相なカレーは? クリーム味のオニギリと貧乏くさいカレーを食わされ、挙句の果てに意味不明のお泊まり。ホントにイヤだったね、子ども会は。

そしてイヤイヤ参加した、ある年末の子ども会主催クリスマス会で、事件は起こった。例によって体育館に集められ、巨大な輪を作りフォークダンス。そしてダンスの相手は近所の母親ども。あーやってられねー!

「次は私とね。ヨロシク!」

げっ! ダンスの輪がもたらした悲劇。参加した全母親の中で、最高レベルにBS(衛星放送ではない)な母親と当たってしまった。浅黒く、彫りの深い筋肉質な顔立ちが、映画で見た「大魔神」のようだ。
それでもなんとか大魔神夫人の相手を務めあげ、ダンスは終わった。そして終了後の肉なしカレータイムで、俺は同じクラスのブンブン(あだ名)に思わず「さっき当たったオバさん、すげーBSだった」と言ってしまった。そしたら。
なんとブンブンは、大魔神夫人のもとにわざわざ駆け寄り、大声で言い放った。

「オバさーん、吉田がオバさんのこと、BSだって!」

……大魔神夫人の表情に一瞬浮かんだ、鬼の形相が忘れられない。「うわっ、本当の大魔神みたいだ」と思ったが、さすがに口には出さなかった。ブンブンに一応「なんで言うんだよ!」と抗議したが「だって言ったじゃん! 言ったこと言っただけじゃん!」とかラチあかねーし。

早く大人になって、こんなアホなイベントとはオサラバしたいと俺は思った。まあ大人になったらなったで、クソみたいな飲み会に強制参加させられたりするけどね。
俺たちも今年で54歳、人生後半戦に入ったわけだから、意味のない飲み会やイベントに無駄な時間を費やすのは避けたいものだ。とりあえず無病息災、賞罰ナシで新元号(どうなるのかにゃー)の一年を乗り切ろう。2019年もヨロシク!

文:カベルナリア吉田

昭和40年生まれの紀行ライター。普段は全国を旅して紀行文を書いている。新刊『ビジホの朝メシを語れるほど食べてみた』(ユサブル)絶賛発売中! 8/11に大阪ロフトプラスワンウエストでトークショー「集まれ!ぼくらビジホ朝メシ仲間」開催。よみうりカルチャー荻窪主催の都内散歩講座とオキナワ講座も開講中! 趣味はバイオリンとレスリング、料理も少々。175CM×83kg(少し戻った)、乙女座O型

【「昭和40年男」vol.53(2019年2月号)掲載】

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